【Puma】Fast-R ニトロエリート3 レビュー│推進力は凄まじいけど耐久距離は150km
Fast-Rニトロエリート3(以下、ファストアール3)は、圧倒的なエネルギーリターンを備えたプーマの最速モデルです。
大学駅伝での着用率が上がり、前作からも大幅に軽量化されており、その性能が気になっている方は多いと思います。
本記事では、ファストアール3の使用感をレビューしつつ、ディヴィエイトニトロエリート3との比較も行います。
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| メーカー別 | |
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| 用途別 |
目次
Fast-R ニトロエリート3 基本情報
- 発売日:2025/4/25
- 定価(税込):¥38,500
- 重量:170g(27.0cm)
- 厚さ:40mm
- ドロップ:8mm
- ミッドソール:Nitro Foam Elite + Carbon Plate
- カテゴリー:レーシング
- 主な用途:ロードレース・マラソン(~サブ3)、インターバル、LT走
- 圧倒的なエネルギーリターン
- 100g近い軽量化
- 強力なロッカー
- フィット感のある極薄アッパー
- コスパが悪い
- ヒールストライクに不向き
Fast-R ニトロエリート3の特徴
ファストアール3は軽量で強い反発力を備えたプーマの最速モデルです。
公式サイトでは、前作(ファストアール2)からランニングエコノミーが3.15%改善し、マラソン3時間のランナーが最大4分30秒の記録短縮が期待できる、と凄まじいことを言っています。
前作が重すぎただけとも思いましたが、元の研究内容を読んでみるとアルファフライ3(Nike)・アディオスプロEVO(Adidas)よりもランニングエコノミーが3.5%以上改善されたとも記載されています。
本当にここまで改善したなら初めて厚底シューズ(ヴェイパーフライ4%)が登場したときの衝撃に匹敵しますが、流石にそんなことはないので、プーマに有利な研究内容な気はします。
それでも数値上良いことは真実で、メジャーなマラソン・大学駅伝などで実績は出てきています。
今作の大きなアップデートは重量で、前作がレーシングモデルとしては最重量級だったこともあり、100g近く軽量化されています。
これにより厚底レーシングモデルとしても軽量となり、メタスピード東京(Asics)・ヴェイパーフライ4(Nike)と同等の軽さになりました。
ミッドソールにはニトロフォームエリートを全域に使用しており、材料は前作と同じ脂肪族系TPUベースとされています。
脂肪族系TPUのスーパーフォームは比較的新しいものの既に実績は十分で、PEBAよりも耐久性が高いとも言われています。
また、前後に分離したソールと、つま先を突き抜けるプレートは、今作も引き続き採用しています。
実走レビュー
サイズ感・履き心地
サイズ感はぴったりでした。どちらかといえば小さい側ですが、レーシングモデルとしては丁度良いです。
独自のアッパーであるULTRAWEAVEは極薄で、しっかりと足の形状に沿ってフィットしました。シュータンも同等の薄さなので、もはや存在意味が感じられないレベルです。
ソールが分離しているため体重をかけた側に圧縮しやすく、安定感はそこまで高くはありません。
さらにソール後端が(ミズノのリベリオンシリーズほどではないものの)カットされているため、後ろに体重をかけると後傾してしまいます。
走っていれば気になりませんが、ヒールストライクでは無駄に力を使ってしまう感覚だったので避けたほうが良いと思います。
超軽量なのに反発力がトップクラス
ライド感はかなりアグレッシブで、独特なソール構造によって凄まじい反発力を感じました。
スピードに乗れていれば自然に前足部から接地できますが、分離したソールにより(接地面積が小さいため)大きく圧縮します。
その後はつま先を突き抜けたプレートに沿って転がされ、蹴り出し時にフォームと同時に復元することで爆発的な推進力が得られます。
強引にまでとはいかなくとも、特殊なソール形状によって力ずくで推進力を生み出しているような感覚でした。
ここまで軽量なシューズから生み出されているとは思えないほど反発力が強く、レーシングモデルとしてもトップクラスだと思います。
研究のように3%までとはいかなくとも、ランニングエコノミー(というよりはエネルギーリターン)は感覚としてもかなり高いです。
他社製品ならメタスピードスカイ東京(Asics) と同等レベルで、アルファフライ3(Nike)・アディオスプロ4(Adidas)よりは反発力を感じました。
ただし、ペースによらず弾みはするのがデメリットともいえ、その反発が横ブレになったら相当なエネルギーが無駄になっていそうでした。
ペースを変えながら走ってみましたが、3分半ペース(/km)くらいまで上げれば快適で無駄なく走れている感覚になりました。
ジョギングペースでも進みはするので走れた気になってしまいますが、スピードに乗れているときの感覚と比較すれば非効率感はあります。
このためフォア〜ミッドフットで、確実に高速ペースで押していける距離までで使用するのが良いと思います。
耐久性は低くコスパは悪い
ファストアール3の最大のデメリットはコスパの悪さで、まず定価は38,500円とかなり高価です。
性能のみを追求したためか耐久距離は150kmとされており、レーシングモデルのため仕方はないですが、価格を考えるとかなり使いづらいです。
最初に寿命を迎えそうなのが薄いアウトソールで、元から凹凸がほとんどないためすぐにツルツルになります。
アッパーもいつ破れるか不安になるレベルの薄さで、アウトソールの摩耗を無視していてもアッパーで終わる可能性も高そうです。
それに加えて取り扱いの難しさもあるため、トレーニング用にもう1足欲しくもなってきます。
お店などで試着すると反発がすごくて購入意欲が湧いてしまうと思いますが、この辺りのデメリットを考慮したうえで購入することをおすすめします。
ディヴィエイトニトロエリート3との違い
公式サイトの情報をもとに、同じレーシングモデルのディヴィエイトニトロエリート3との比較表を作成しました。
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|---|---|---|
| Fast-R 3 | Deviate 3 | |
| ¥38,500 | 定価 (税込) |
¥29,700 |
| 170g | 重量 (27.0cm) |
196g |
| 40mm | 厚さ | 40mm |
| 8mm | ドロップ | 8mm |
| Nitro Foam Elite + Carbon Plate | ミッド ソール |
Nitro Foam Elite + Carbon Plate |
| 150km | 耐久距離 | 400km |
商品画像の引用元:jp.puma.com
ディヴィエイトニトロエリート3もエリート向けのレーシングモデルで、比較表にしてみるとスペックはほとんど同じです。
価格差からの下位モデルのイメージはありますが、ファストアール3の発売前は箱根駅伝での実績多く性能はしっかり高いです。
レーシングモデルとしてはスタンダードな構造をしているため操作性は抜群で、反発力も前足部で踏み込めばそこそこ強いです。
ファストアール3を履いた後では物足りなさはありますが、安定感・ピッチの上げやすさではメリットになります。
耐久距離は2.5倍以上長いので、コスパ・扱いやすさを考えれて比較するのが良いと思います。
どんなランナーにおすすめ?
Fast-R ニトロエリート3は以下のようなランナーにおすすめできるシューズです。
- 圧倒的な反発力で進みたい
- 反発力のみならず軽さも求めたい
- ストライドで押していく走りが合っている
- アグレッシブなライド感を楽しみたい
逆に、以下のようなランナーには合わない可能性があります。
- フォア〜ミッドフットで走りきれる自信がない
- アウトソールを擦り減らしやすい
- コスパも考慮したい(ディヴィエイト3が選択肢)



