ロング走の効果、ペース、距離を解説│おすすめのシューズも紹介 – Unattached Runner
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ロング走の効果、ペース、距離を解説│おすすめのシューズも紹介

 週末の定番ともいえるロング走の効果、適正ペース、距離、頻度を解説します。LSDや、マラソンペースのトレーニングについても紹介します。

ロング走とは

本記事における定義と効果

 ロング走とは文字通り長時間のランニングを指しますが、人によって距離やペースのイメージは様々で、明確な定義はありません。

 本記事では、ロング走を普段よりも長いイージーラン(通常のジョギング)と定義します。また、イージーランと記載する場合、ロング走も含めることにします。

 呼び方についてはロングラン・ロングジョグ・距離走など様々ありますが、本記事ではロング走で統一します。

 ロング走の効果は有酸素能力の向上・筋骨格系の強化などイージーランと同様で、トレーニングの土台を構築するために重要です。

 統計的にも長距離のパフォーマンスは走行距離と強い相関がある(スピードトレーニングよりも強い)ことが示されていて、イージーランと同様に最も重要なトレーニングといっても良いと思います。

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トレーニングの大半を占めるイージーラン(通常のジョギング)は、パフォーマンス向上のために最も重要なトレーニングといっても過言ではありません。本記事では、イージーランの効果や、適正な距離・ペースについて解説します。

ペース

ロング走のペース

Garminの心拍ゾーン (引用元:www.garmin.co.jp)

 イージーランと同種のトレーニングとなるため、ペース(強度)は最大心拍数の60%〜80%が目安になります。

 このペースはダニエルズの指標(VDOT)ではEペース、ガーミンの心拍ゾーンではゾーン2〜3に入り、フルマラソンのペース+30"〜60"/kmが目安になります。

 厄介なのは、イージー(E)ペースという場合、ダニエルズの指標では最大心拍数の65%〜80%辺りを指すのに対し、ガーミンの心拍ゾーンでは最大心拍数の60%〜70%を指すことです。

 ガーミンの心拍ペースでは、最大心拍数の70%〜80%のペースのトレーニングはモデレートランと呼ばれます。

 私はイージーランと呼ぶときは基本的にゾーン2で、後半にゾーン3に入るか入らないかくらいで走っています。

 また、フルマラソンに向けたロング走では、マラソンペースに近いゾーン3(モデレート)で走っている方が多い印象があります。

 下の表に、フルマラソンのタイム別にロング走の目安のペースを記載しました。例えばサブ4(4時間切り)が目標であれば、レースペースが5'41"/kmなので、ロング走のペースは6'10"/km〜6'40"/kmが目安になります。

ロング走のペースの目安
フルマラソンのタイム ロング走のペース
3:00'00 4'45"/km~5'15"/km
3:30'00 5'30"/km~6'00"/km
4:00'00 6'10"/km~6'40"/km
4:30'00 6'50"/km~7'20"/km
4:00'00 7'30"/km~8'00"/km

距離

 ロング走のメリットは距離を稼げる点ですが、1度に走る距離は週間走行距離の25~30%以下に抑えることがで推奨されています。

 また、私個人が感じていることですが、800m~1500mの速筋タイプのランナーは疲労が溜まりやすいため、週間走行距離の20%~25%くらいでも良いと思います。

 フルマラソンの練習で30km走を行う方は多いと思いますが、週間走行距離の30%計算では週間100kmは走っていないと30kmは長すぎることになります。

 ロング走は長すぎても効果はありますが、ダメージが大きすぎて次のトレーニングまでに疲労が抜けないため、長い目で見ると効率が悪くなり、怪我をする可能性も高くなります。

 ただし、30km走を達成することで自信が得られたり、フルマラソン当日のレースプランを決めることに役立つため、1度は走っておいても良いと思います。

 また、ポイント練習(強度の高いトレーニング)を行っている方は、イージーラン(ロング走含む)が週間走行距離の70%~80%(主流は80%)を占めると効率的だといわれています。

 例えば、月間走行距離が300kmの場合は週間走行距離は約70kmなので、1週間のうち約56km(=70×0.8)をイージーランで占める必要があります。

 1週間のうち5日間をイージーランに充てる場合、通常のイージーラン4日間で10kmずつ走るとすると、残りの16km(=56-10×4)を走るためにロング走で調整することができます。

 ただし、通常のイージーランを8kmにすると残りが24km(=56-8×4)となり、1度の走行距離の上限(70×0.3=21km)を超えてしまいます。このように、ロング走で走行距離の調整をする際は上限に注意です。

ロング走の上限の目安
週間走行距離 月間走行距離 ロング走の上限
24km 100~110km 6~7km
48km 200~215km 12~14km
72km 300~320km 18~21km
96km 400~425km 24~28km

LSDとの違い

LSDのペース

Garminの心拍ゾーン (引用元:www.garmin.co.jp)

 LSD(Long Slow Distance)は先ほど紹介したロング走に含まれるトレーニングで、ゆっくり長い距離を走ることを意味します。

 LSDのペースは心拍ゾーン2(最大心拍数の60〜70%≒フルマラソン+45"〜60"/km)に入り、ロング走(ゾーン2〜3)の遅い側のペース域と被っています。距離の上限はロング走と同等です。

 LSDはロング走と同様に距離を稼ぐことが重要なため、確実に走り切れるようにやや速いペースであるゾーン3を避けています。

 LSDと聞くとゾーン1(最大心拍数の50〜60%)をイメージする方もいますが、遅すぎるとフォームが崩れれることでメカニズムが変わり、効果が薄れてしまう可能性があります。

マラソンペース(Mペース)

マラソンペース

Garminの心拍ゾーン (引用元:www.garmin.co.jp)

 マラソンペース(以下、Mペース)は名前の通りフルマラソンのレースペースと同じで、ダニエルズの指標(VDOT)ではMペース、ガーミンの心拍ゾーンではゾーン4に入ります。

 最大心拍数の80%〜90%にあたりますが、上級者でない限り90%近くになるとLTペースとなるので、大半の方は85%以下と考えて良いと思います。

 LTペースに達しないため効果はイージーランと同種ですが、強度が高いため疲労が溜まりやすく、悪く言えば中途半端なペースです。

 このため、トラック競技が専門の選手はポイント練習としてMペースで走ることは少なく、LT走やインターバルが中心になります。

 Mペースは足が重いときに行う緩めのペース走、または直近にレースが控えていない時期にポイント練習とは別に入れる中強度のトレーニングくらいのイメージです。

 ただし、フルマラソンのタイムを伸ばすことが目標であれば、Mペースのトレーニング自体がメインのポイント練習となります。

 1度に走る距離は週間走行距離の20%以下が目安です。ロング走よりも負荷が高いため、上限が短くなっています。

 このため、Mペースで30km走を行うなら週間走行距離150kmは必要で、大半の方は距離かペースを落とした方が良いといえます。

おすすめのシューズ

 ゾーン2(緩めのロング走=LSD)はリラックスして走れるペースなので、クッション性や安定性を重視すると良いと思います。

 いわゆるデイリートレーナーと呼ばれるカテゴリーがおすすめで、下の表にメーカー別に代表的なモデルをまとめました(リンクはAmazonサイトに移動します)。

ゾーン2おすすめのシューズ

アシックス
ナイキ
アディダス
ニューバランス
ミズノ
ホカオネオネ
On

 ゾーン3(モデレート)もゾーン2と同じシューズでも良いですが、やや速いペースのため軽さや反発力があると楽に走れます。

 フルマラソン本番を見据えた練習であれば、レースと同じシューズを使用するのも良いと思います。

ゾーン3おすすめのシューズ

アシックス
ナイキ
アディダス
ニューバランス
ミズノ
ホカオネオネ
On

まとめ

 本記事で紹介したロング走・LSD・マラソンペースのトレーニングについて、目安のペース・心拍数・距離を以下にまとめます。

ロング走 LSD Mペース
ペース フルマラソン+30"〜60"/km フルマラソン+45"〜60"/km フルマラソン
心拍数 ゾーン2〜3 (60〜80%) ゾーン2 (60〜70%) ゾーン4 (80〜90%)
距離 週間走行距離の25〜30%以下 週間走行距離の25〜30%以下 週間走行距離の20%以下

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