【On】Cloudspike Citius 2 レビュー│旧モデル(1500m)との違いも解説

Onの中距離用スパイクであるクラウドスパイクシティウス2(Cloudspike Citius 2)は、厚さが20mm以下となり公認トラックで使用できるようになりました。
厚さが規定内となったことで、トップレベルの選手が着用している場面も多く見られるようになりました。
本記事では、クラウドスパイクシティウス2(以下、シティウス2)の性能・使用感について、旧モデルのクラウドスパイク1500mと比較しながらレビューします。
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目次
クラウドスパイクシティウス2 基本情報
- 発売日:2025/4/17
- 定価(税込):¥19,800
- 重量:156.6g(27.0cm), 145g(25.0cm)
- 厚さ:20mm(実測)
- ミッドソール:Helion HF + Nylon-blend Plate + Pebax Plate(Outsole)
- ピン:6本(取替式)
- 主な用途:400m~5000m(主に中距離)、スピードトレーニング
- 厚底化により反発力が向上
- レスポンスが早い
- 陸上スパイクとしては割安
- ヒールストライクには不向き
Onの初めての陸上スパイクであるクラウドスパイク1500m/10000mは2023年7月に発売され、その後継モデルであるシティウス/アンプリウスは2024年7月に発売されました。
ただし、初代シティウス/アンプリウスはどちらも厚さが20mmを超えており、2024年11月から使用不可となっていました。
しかし2代目はどちらも厚さが20mm以下に調整され、心置きなく公認トラックのレースで使用できるようになりました。
Citiusの日本語表記は初代モデルではキティウスでしたが、2代目ではシティウスに変更されています。
定価(税込)は19,800円と非常に安いです。Onのシューズは高価なモデルが多いですが、スパイクは他社製品よりも安いです。
クラウドスパイクシティウス2の特徴
シティウス2の特徴を、旧モデル(1500m)と比較しながら解説します。
サイズ感・履き心地

サイズ感はスパイクとしては少し大きく感じました。1500mよりも大きいです。
普段は25.5cmを選ぶことが多いですが、25.5cmを試着したところつま先がかなり余っていました。
25.0cmでちょうど良く、幅も狭すぎず足にちょうどフィットするくらいの広さでした。
左右にスライド可能です。
アッパーは1500mよりも薄く、ナイキのアトムニットのような素材です。ヴェイパーフライ3のアッパーに似ています。
アンプリウス2のアッパーの方が少し厚いため、ここが一番見分けやすいポイントだと思います。
かかとの部分もペラペラですが広すぎず、また固定用のパッドもあるため抜ける感覚はありませんでした。
靴ひもには、1500mと同様に滑り止めが付いています。靴ひもはかなり長く、足を固定しようときつめに結ぶと結構余ります。
インソールの滑り止めはなくなりました。ただレースに出る際は基本的に滑り止め付きのソックスを履くので、むしろ廃止されて良かったと思います。
前足部の最も厚い部分は実測23mm
横からスケールを当てただけの簡易的な測定ですが、前足部の最も厚い部分と、後足部の厚さは以下のような測定結果となりました。

厚さ(前足部) | 厚さ(後足部) | |
---|---|---|
Cloudspike Citius 2 | 23mm | 20mm |
Cloudspike 1500m | 17mm | 16mm |
特に前足部の厚みが大きく増加しており、最も厚い部分は実測で23mmほどあることが分かりました。
クラウドスパイク1500mよりも6mmほど厚く、写真のように並べてみると違いは明らかです。
公式サイトには「前足部のスタックハイトは競技規則に準拠 – 20mm」との記載がありますが、これは競技規則の測定位置(先端から25%)における厚さです。
ちなみに、初代シティウスでは前足部は23mmとの記載があったので、そこからは3mm薄くなったことになります。
中距離スパイクらしく、前足部で踏み込むことでしっかり反発が返ってくる構造になったといえます。
実走レビュー
反発力が強くてレスポンスが早い

クラウドスパイク1500mと比較すると曲げ剛性が高く、接地後にバネのように素早く反発が返ってきます。
ソール構成に目を向けると、Onがスピードボードと呼んでいるプレートは、ハーフレングスで前足部に内蔵されています。
外から目視することはできませんが、触ってみた感触ではインソールの真下にあるように思われます。
また、材質は「PA11 15% CF」と記載されているように、1500mと同様にカーボンファイバーが15%含まれています。
そしてアウトソールのPebaxプレートはフルレングスで、前〜中足部(ピンの取付部)は露出しています。

1500mはマトゥンボ(Nike)のようなU字形状だったため、ここで剛性が大きく高まったように思われます。
さらに、ミッドソールのHelion HFは柔らかすぎず、これが前足部は2枚のプレートにより挟まれているため、接地からの反発は非常に早く感じました。
ドラゴンフライ(Nike)のように一度沈み込むような感覚は小さく、速攻で反発が返ってきます。
反発が強くてレスポンスが早いためどんどん脚が回り、簡単にスピードが出てしまいます。
剛性が高いためある程度のパワーが必要なものの爆発的な推進力が得られるので、スピードに乗ることができれば快適で楽しいです。
フォア〜ミッドフット推奨

ここまで見てきたように前足部は厚くて硬めのため、フォア〜ミッドフットでなければ性能は最大限に引き出せないと思います。
アディゼロアンビション(Adidas)ほど強烈ではないですが、普通に立った状態では後傾します。
盛りすぎた表現にならないように書いておくと、レースペースで走っていれば自然と走れるくらいの角度ではあります。
ただし失速してしまうと、普段ヒールストライクの方であれば走りづらくなると思います。
出力を抑えていても簡単に1500mのレースペースまで上がってしまうので、そのまま押せるならかなり良いパフォーマンスが出せると思います。
短距離選手の練習用スパイクとしても全然使えてしまうのではないかと思います。
(まだレースでは使用していないので、出場したら更新する予定です。)
扱いやすかったクラウドスパイク1500mと比較すると上級者向けになっているので、中距離に慣れてから使用することをおすすめします。
アンプリウス2との違い
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Cloudspike Citius 2 | Cloudspike Amplius 2 | |
¥19,800 | 定価(税込) | ¥19,800 |
156g | 重量(27.0cm) | 157g |
20mm | 厚さ | 20mm |
Helion HF | ミッド ソール |
Helion HF |
前足部 | 内蔵 プレート |
中足部 |
Pebax Plate | アウト ソール |
Pebax Plate |
6本 | ピン | 5本 |
商品画像の引用元:on-running.com/ja-jp
記事執筆現在、長距離向けのアンプリウス2は出回っていませんが、簡単にシティウス2との違いを解説します。
比較表の通りスペック上の違いはほとんどありません。一番の違いは、内蔵プレート(スピードボード)の位置だと思います。
シティウス2は反発力強化のために前足部に配置していますが、アンプリウス2は安定性強化のために中足部に配置しています。
また、見た目からの推測にはなりますが、アンプリウス2の方が少しフラットなソール形状で、クセが小さく扱いやすいのではないかと思います。
ピンの数は、クラウドスパイク1500m/10000mとは逆で、シティウス2が5本、アンプリウス2が6本になりました。
ドラゴンフライ2がピンの数を6本から4本に削減した際は安定性の向上(プラットフォームの拡大)を目的としていましたが、同じような理由なのかもしれません。
どんなランナーにおすすめ?
クラウドスパイクシティウス2は以下のようなランナーにおすすめできるシューズです。
- とにかく反発力が欲しい
- 小さな出力でスピードを出したい
- レスポンスの早さを重視
- 2万円以下で安く手に入れたい
逆に、以下のようなランナーには合わない可能性があります。
- レース後半に失速することが多い
- フォア〜ミッドフットに慣れていない