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1分50秒ランナーによる!800mの練習メニューをタイム別に紹介

800m メインビジュアル

 800m走はスピードとスタミナが共に求められるため、練習メニューや他の競技との両立で悩んでいる方は多いと思います。

 さらに、800mの選手は大きく3タイプ(400m型・800m型・1500m型)に分かれ、タイプに応じで練習方法が変わってきます。

 そこで本記事では、私が1分50秒を出した経験やトップ選手のトレーニング方法を元に、800mの練習メニュー・考え方をタイム別に紹介します

トレーニング・シューズ記事のリンク

800m
1500m
5000m
3000mSC
フルマラソン

スピード・スタミナどちらも必要

陸上世界記録 速度

種目別 世界記録の速度

 突然の紹介になりますが、上のグラフは各種目(100m〜フルマラソン)の男子世界記録の速度をグラフにプロットしたものです。横軸は距離で、対数表示しています。

 グラフを見ると、プロットはおおよそ1000mを起点に2つの直線上(赤色/青色)に並んでいることが分かります(100mは加速区間の影響が大きいため直線から外れています)。

 赤色の直線に乗っている場合は無酸素運動、青色の場合は有酸素運動が優位となる種目と考えられますが、このエネルギー供給の分配が1000mあたりを起点に大きく変わり、それが世界記録という数値でも現れています。

 800mを見ると(やや無酸素寄りですが)2つの直線どちらにも近く、スピードもスタミナも必要とされる特異な種目であるといえます。

 実際400mを49秒で走れても、あるいはフルマラソンで2時間20分を切っていても、800mで2分00秒を切れない選手はいます。

 日本歴代記録を見ても、800m・1500mのトップ選手は被っておらず、1500m以上の競技とトップレベルでの両立は困難であることが分かります。

 有名な走力の指標であるVDOTは1500m〜フルマラソンしか適用できませんが、これは800m以下の距離がグラフの長距離のライン(青色)に乗らないためだと思われます。

 VDOTは有酸素能力の目安となるVO2maxを元に作成されているため、無酸素運動の比率が一気に大きくなる800m以下の種目では同じ計算式で表すことが困難です。

800mの選手は大きく3タイプ

 ここまで見てきたように800mは特殊な種目であるがゆえに、大きく以下の3タイプの選手に分けることができます。

  • 400m型:400mもそこそこ走れるが、1500mは苦手
  • 800m型:400m・1500mともに程々に走れるが、800mが最も得意
  • 1500m型:1500mもそこそこ走れるが、400mは苦手

 800mの世界記録・日本記録を見るとトップ選手は純粋な800m型に限られ、800mに特化したトレーニングが必要不可欠です。

 基本的に400m以下なら短距離の練習、1500m以上なら長距離の練習がベースとなりますが、800mはどちらのトレーニングも取れ入れます。

 ただし、800mに出場しているランナーは1500m型(または長距離選手)が多く、短距離の練習を取り入れることが難しいこともあると思います。

 このような場合は長距離のトレーニングを行う中でスピードトレーニングの割合を増やし、得意のスタミナを活かしつつ800mの記録を伸ばしていきます。

800mの練習メニュー

800m 練習メニュー

 800mの練習メニューをトレーニング別に解説します。800m型の選手はどちらかというと400m型に近いため、以降は「400m/800m型」「1500m型」と記載します。

 400m/800m型ランナーの練習メニューは800mのエリートチームである「fast8trackclub」のポストを参考にしています。

 目標タイム別(1分50秒、2分00秒、2分10秒、2分20秒)に目安のペース設定を記載していますが、合計走行距離・休息時間・選手のタイプによって変わってくるため、ある程度の幅をもたせています。

スプリント

 スプリント系トレーニングは主に30m〜200mの距離を、95%〜100%(全力)の出力で走ります。

 ドリル・プライオメトリクスなどと組み合わせて行われることが多く、速い動きで刺激を入れて最大出力を高めます。

 ただし、800mでは全力で走る場面はほとんどないため、スプリントトレーニングを何本も行って追い込む必要性は低いです。

 ポイント練習というよりは動き作りに近いイメージで、特に1500m型のランナーは疲労が残りやすいためほとんど行わなくて良いと思います。

トレーニング例

  • 30m×5+120m×3
  • 60m×3+200m
  • 100m×8(中間区間のみ全力)

※設定ペースは95%〜100%

レペティション・坂ダッシュ

 レペティション・坂ダッシュは400m/800m型のランナーの主要となるトレーニングで、ここが1500m型ランナーと最も異なる点です。

 1本の距離は150m〜600m、合計800m〜1600m前後が目安で、400m〜800mのレースペースで走ります。

 800mのレースペースよりも遅くならないように、休息時間は10分などと長めに設定します。

 非常に強度が高いトレーニングなので、準備期間(冬季など)は怪我のリスクを抑えるために坂ダッシュがメインとなります。

 私は冬季練習で(坂ではなく)競技場でレペティションを頻繁に行っていたこともありましたが、簡単に怪我をしてしまったため本当に気をつけたほうが良いです。

 1500m型のランナーは、1日のポイント練習全てをレペティションに充ててしまうと他のトレーニング(インターバルなど)の頻度が低くなるため、1500m以上の種目との両立が難しいと思います。

 このような場合は、普段の長距離のトレーニング(LT走など)の後にレペティションを数本入れる方法がおすすめです。

 疲労が溜まっている状態で行うため下記のペース設定は厳しいこともありますが、800mのレースペースより速く走れれば十分効果がある印象です。

 下記のペース設定は主に400m/800m型のランナー向けで、1500m型のランナーは下限付近の設定でOKです。

トレーニング例

  • 600m+500m+400m
  • 400m×3
  • LT走+200m×5
  • (200m+150m+100m)×3 ※坂ダッシュ

ペース設定

目標タイム 1'50 2'00 2'10 2'20
200m 23"-25" 25"-27" 27"-29" 29"-31"
300m 36"-39" 40"-43" 44"-47" 48"-52"
400m 50"-54" 55"-59" 60"-64" 65"-69"
600m 81"-86" 88"-92" 96"-103" 104"-109"

※上記タイムは傾斜なしの場合

インターバル

 本記事におけるインターバルは、先ほど紹介したレペティションよりもペースが遅く、休息時間が短いトレーニングを指すこととします。

 具体的には、ペースは800m〜3000mのレースペース、休息時間1〜2分(セット間は7分)といったように設定します。

 (長距離選手からみればレペティションと呼ばれるようなトレーニングですが、800mの選手からすればインターバルのような感覚だと思います。)

 レペティションよりは強度が低いため、合計走行距離は3000m前後が目安で、トレーニング量を稼ぐことができます。

 1500mの練習と兼ねることができるため、1500m型のランナーに取り入れやすいトレーニングです。

トレーニング例

  • 600m×2+400m×2+200m×5
  • (500m+300m+200m)×3
  • 300m×3×3+400m
  • 400m×4×2

ペース設定

目標タイム 1'50 2'00 2'10 2'20
200m 25"-27" 27"-29" 29"-31" 31"-33"
300m 41"-44" 45"-48" 49"-52" 53"-56"
400m 57"-61" 62"-66" 67"-71" 72"-76"
600m 90"-95" 97"-102" 105"-110" 113"-118"

LT走

 LT走は、基本的に長距離選手が行うテンポ走(≒ペーラン)を分割して行います。

 400m型のランナーにとっては苦手な練習だと思いますが、練習頻度は少なくても有酸素能力を伸ばすために必須です。

 1本の距離は400m〜2000m、合計4000m〜6000m前後で、休息時間は30秒〜1分が目安です。

 設定ペースは800mのレースペースよりも1周あたり15〜20秒ほど遅く、1500m型ランナーにとってはそこまで速いペースではありません。

トレーニング例

  • 1000m×6 1'R
  • 600m×8 1'R
  • 400m×12 30〜45"R
  • 2000m+レペティション
  • 1000×5 3'R ※1500m型のみ(5kペース)

ペース設定

目標タイム 1'50 2'00 2'10 2'20
400m 68"-71" 73"-76" 78"-81" 83"-86"
600m 1'45-1'50 1'52-1'57 2'00-2'05 2'08-2'13
1000m 3'05-3'15 3'13-3'23 3'21"-3'31" 3'27"-3'37"

ジョギング

 長距離種目と同様に、800mにおいてもジョギングは必須のトレーニングです。

 800mの記録が伸び悩む場合、1500m型はスピード不足であることが多いですが、400m・800m型の場合はジョギング不足であることが多いです。

 記事前半で解説したように800mは有酸素能力も必要なため、基礎的なジョギングが不足しているとレース後半の失速につながります。

 400m/800m型のランナーは距離に対する耐性が低いため、ペースは気にせず30〜50分程度走れれば良いと思います。

 1500m型のランナーは走行距離の70〜80%をジョギングに充てて、疲労が溜まらない範囲でトレーニング量を稼ぐことが効果的になります。

 私(1500m型)は週に3〜4日はジョギング(40〜50分程度)を行っており、ペースは疲労に応じでキロ4〜キロ5の範囲で調整しています。

1週間のトレーニング例

 1週間のトレーニング例をタイプ別に紹介します。

曜日 400m/800m型 1500m型
スプリント オフ
LT走 ジョギング + α
ジョギング インターバル or LT走
インターバル or レペティション ジョギング
ジョギング ジョギング
レペティション レペティション
オフ ジョギング

 400m/800m型のランナーはレペティション・インターバルが中心となり、高強度のトレーニングでスピードを強化することが効果的です。

 この例では週3日(火・木・土)をポイント練習にしていますが、コンディションや練習スタイルに合わせて週2回でも問題ありません。

 1500m型のランナーはジョギングやLT走で走行距離を稼ぎつつ、インターバル・レペティションでスピードを強化します。

1分50秒達成時の練習メニュー

 1500m型の私が800mで1分50秒を出した際の、1ヶ月分の練習メニューを紹介します。見分けがつきやすいように、ポイント練習は太字にしています。

4週間前

曜日 メニュー
11kmjog
8.5kmjog
400(59")×3 R400jog
off
6.5kmjog
選手権1500m 3'44"78 PB
11kmjog

3週間前

曜日 メニュー
11kmjog
off
300m(39")×2 7'R
6.8kmjog+200m流し×3
off
1000m(2'55)×4 R400jog(2'30)
8'R
400m(57")×2 7'R
8.3kmjog

2週間前

曜日 メニュー
off
6.8kmjog+100m流し×6
off
1000m(2'51)+400m(59"9)
6kmjog+120m
記録会1500m 3'47"35
10.6kmjog(3'55"/km)

1週間前

曜日 メニュー
1000m(3'10)+400m(56"5)
off
250m(34")×3 R150walk
off
6.6kmjog
6kmjog+100×2
記録会800m 1'50"95 PB

 1500mのレースもポイント練習に含めれば、レペティションを中心としたトレーニングを行っていました。

 ただし1500mがターゲットであったため800mのレースペースより速いトレーニングはほとんど行っておらず、一度300mを39秒で走ってはいるものの全力に近いです。

 1分50秒を持っているランナーとしては明らかにスピードが不足しており、スピード持久力で何とか1分50秒まで持っていくことができました

 出し切れないためフィニッシュ後はかなり余裕があり、このままでは記録が頭打ちになるため、私の場合はレペティション・スプリントの比率を増やす必要があります。

まとめ

 800mはスピード・スタミナがどちらも必要で、レペティションが中心にインターバル・LT走、ジョギングも練習に取り入れる必要があります。

 ただし、タイプによって得意分野・疲労の溜まり方など異なることが多いので、試行錯誤しながら自身に合ったトレーニング配分を探すことをおすすめします。

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