Onのランニングシューズ「CloudTec」の特許を調べてみた
Onのランニングシューズはミッドソールに特許技術「CloudTec」を採用しているのが特徴で、雲の上のような走り心地を実現しています。本記事では、CloudTecの特許について調べたことを紹介します。
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CloudTecとは
CloudTec (On公式HPより引用)
写真はCloudというシューズですが、ミッドソールが溝形エレメント(中空構造)を持った特徴的な構造になっています。この構造がCloudTecと呼ばれていて、溝形エレメントが走行時に変形することで高いクッション性を実現しています。
CloudTecはOnの全ランニングシューズに採用されていて、全て名前がCloudから始まっています。そのため、On = CloudTecといっても過言ではありません。
Cloudracer (On公式HPより引用)
Onのランニングシューズとして初めて発売されたCloudracerでは、が上面と下面が走行時に接するほど狭くなっていました。この構造の特許もありましたが、出願されている国は限られていて(日本はなし)今後は発売されにくいと思います。
CloudTecの特許
CloudTecの特許は国際特許として公開されていて、日本では2020年9月に特許第6765420号として登録されています。
メインクレーム
【引用】特許第6765420号 図1
メインクレームは以下の通りです(簡潔に書き直しています)。
シューズ部材:
- 軟弾性ミッドソール(20)を有する
軟弾性ミッドソール(20):
- 溝形エレメント(21)を有する
- エッジストリップ(23)を有する
溝形エレメント(21):
- 側面開口(24)を有する
- 歩行時に作用する力に応じて、側面開口(24)が閉じるまで変形され得る
- 外側に面するフェース側に、複数の所定折畳切欠(25)を有する
エッジストリップ(23):
- 各溝形エレメント(21)を繋ぎ、側面開口(24)の高さを決定する
所定折畳切欠(25)
- 側面開口(24)の高さとほぼ同じ垂直幅を有し、それぞれ側面開口(24)と整列している
用語が分かりづらいので順番に解説していきます。
溝形エレメント(21)は、中空構造1つ1つのことを指しています。また、側面に空いている穴の部分が側面開口(24)です。
所定折畳切欠(25)は、側面開口(24)の横にある凹んだ部分のことを指しています。写真では丸みをった凹みが描かれています。シューズによっては複数の所定折畳切欠(25)があります。
最後に、エッジストリップ(23)は言葉からは想像しづらいですが、溝形エレメント(21)を繋いでいる普通のソールのような部分です。クレームにも記述がありますが、エッジストリップ(23)によって側面開口(24)の高さが決まっています。
特許本文
溝形エレメントの大きな効果は高いクッション性・浮揚効果・軽量化です。適切なクッション性を実現するために、溝形エレメントの厚さはかかと部からつま先部へと減少するとの記載があります。
浮揚効果は、所定折畳切欠によって溝形エレメントの変形を促進することで実現しています。
ただし、走行時に側面開口の底面とエッジストリップの下面が接触すると、その摩擦によって浮揚効果が相殺されてしまいます。
そのため、所定折畳切欠は側面開口の横だけに配置され(エッジストリップには配置しないで)、平行方向に変形して接触を避けるように工夫されているようです。
Speedboard (On公式HPより引用)
さらに図には記載されていませんが、エッジストリップ上面付近にはSpeedboard(スピードボード)と呼ばれる熱可塑性ポリマー製のプレートがあります。
SpeedBoardはCloudTecと連動して、走行時のエネルギーを吸収して推進力に変える重要な役割を持っています。
CloudTecの発展形
特許で紹介した構造からさらに発展したシューズを紹介します。
Cloudstratus
CloudTecが2層になったシューズです。2層構造になったことにより、Onのランニングシューズの中で最高峰のクッション性を実現しています。そのため、初心者のマラソン用シューズとしてぴったりだと思います。
Cloudboom
カーボンファイバーを注入したSpeedboardを2層のCloudTecが挟み込んだ構造をしています。2層のCloudTecの間から露出して見えているのがSpeedboardです。
On最速マラソンシューズで、価格は21,780円と競合メーカーのカーボンシューズより比較的安いです。
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