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【Asics】メタスピードエッジTokyo レビュー│PEBAを超えた素材?のFF Leapを搭載!

メタスピードエッジTOKYO レビュー

 メタスピードエッジTokyoは、アシックスの新素材「FF Leap」を初搭載したレーシングモデルです。

 エッジシリーズは比較的クセがなく扱いやすく、また足の回転がコントロールしやすい理由で選んでいた方は多いと思います。

 本記事では、まずはFF Leapについて細かく解説し、性能・ライド感についてレビューします。

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メーカー別
レベル別
用途別

メタスピードエッジTokyo 基本情報

  • 発売日:2025/7/27
  • 定価(税込):¥29,700
  • 重量:170g(27.0cm)
  • 厚さ:39.5mm
  • ドロップ:5mm
  • ミッドソール:FF Leap + FF Turbo Plus + Carbon Plate
  • カテゴリー:レーシング
  • 主な用途:ロードレース・マラソン(サブ3)、インターバル、LT走、ロング走
メリット
  • 次世代フォーム「FF Leap」を採用
  • クッション・反発力が強化
  • 15g軽量化(最軽量クラス)
  • クセが少なく扱いやすい
デメリット
  • 反発はパリシリーズの方が早い
  • 2,200円値上げ(それでも安い)

メタスピードエッジTokyoの特徴

新素材の「FF Leap」を採用

メタスピードエッジTOKYO ミッドソール

 メタスピードエッジTokyoのソール構成は以下の通りで、上下のフォームの間にはカーボンプレートが内蔵されています。

  • ソール上層:FF Leap(新素材!)
  • ソール下層:FF Turbo Plus(従来のフォーム)

 ざっくりいうと、「FF Leap」は「FF Turbo Plus」よりも軽量で弾力感があり、アシックスの次世代のスーパーフォームとして開発された素材です。

 上層に柔らかいフォームを配置することは一般的な方法で、下層は安定性を向上させる役割が大きいです。

 FF Turbo Plusはスーパーフォームとしては比較的硬めなので、下層にはもってこいの素材だと思います。

 旧モデルのメタスピードパリシリーズはFF Turbo Plusのみだったので、単純に考えればFF Leapを使用したことで性能がアップしたことになります。

 材料について細かく調べてみると、FF Turbo Plusは「PEBA」、FF Leapは「A-TPU (脂肪族TPU)」をベースとした素材のようです(非公式情報)。

TPEフォームの分類

TPEフォームのざっくりとした分類

 まず、PEBAは広義にはTPA(熱可塑性ポリアミドエラストマー)に分類されます。TPAは、TPE(熱可塑性エラストマー)の中で「ポリアミド」を使ったタイプです。

 TPAの中でも、ポリアミドにポリエーテルを結合させた構造を持つものがPEBAになります。PEBAは現在も多くのメーカーのスーパーフォームに採用されています。

 よく耳にする「Pebax (ぺバックス)」は、PEBAの分子構造や配合を工夫して高い性能を実現したアルケマ社の商標名(ブランド名)です!

 素材自体の色なのか断言できませんが、PEBAはズームX(Nike)やライトストライクプロ(Adidas)のようにクリーム色の外観になる印象です。

 次にFF LeapがベースとしているTPUですが、こちらはTPEの中で「ポリウレタン」を使ったものです(PEBAはポリアミドです!)。

 TPU自体は特殊な素材ではなく、アディダスのBoostフォーム・ニューバランスの旧FuelCellフォームにも使用されています。

 他にもプレートやアッパー(糸)にも使われたりしていますが、基本的にはTPUと聞けば柔軟性・伸縮性が高いイメージを持っておけば良いと思います。

脂肪族TPUと芳香族TPUの化学式

脂肪族TPUと芳香族TPUの化学式(のイメージ)

 「TPU」と単独で表記される場合は、一般的には「芳香族TPU」のことを指すみたいです。芳香族はベンゼン環(上図の六角形)のことです。

 一方で、FF Leapがベースとしている「A-TPU」と表記される場合は「脂肪族」であることが強調されています。脂肪族はベンゼン環を含みません。

 (芳香族TPUも「Aromatic TPU」だからA-TPUと略されそうですが、その辺の事情はよく分かりません。。。)

 「A-TPU」はFF Leapのみならずニトロフォームエリート(Puma)など最近採用されつつあり、PEBAに代わるスーパーフォームのスタンダードとして期待されている素材です。

 ベンゼン環の有無でそんなに変わるのかという気もしますが、これが素材の性能にも結構影響を与え、PEBAをも超えるポテンシャルを持っているみたいです。

 FF Leapの実際の弾力感・性能については、実走レビューの方で詳しく記載していきます。

パリシリーズよりも15g軽量

 メタスピードTokyoシリーズは、旧モデルのパリシリーズよりも約15g軽量化されています。

 参考までに、他社の厚底レーシングモデルとの比較表を作成しました。

メーカー 重量(27.0cm)
MetaSpeed Ray Asics 129g
Adios Evo 2 Adidas 138g
Vaporfly 4 Nike 168g
Sky/Edge Tokyo Asics 170g
Fast-R 3 Puma 170g
Sky/Edge Paris Asics 185g
Adios Pro 4 Adidas 200g
SC Elite v5 New Balance 205g
Rebellion Pro Low Mizuno 215g

 厚底レーシングシューズは数年前までは200gを切れば超軽量でしたが、2025年頃から軽量化がさらに加速しています。

 現在はメタスピードレイ・アディオスプロEVO2が抜き出てますが、これらはやや特殊な立ち位置にあるため、ここでは一旦比較から除外します。

 そう考えると超軽量シューズの基準は、表からおおよそ170g前後になることが分かると思います。

 メタスピードレイの129gが強烈過ぎて影に隠れがちですが、Tokyoシリーズもトップクラスの軽さです。

 ヴェイパーフライ4は厚さが35mmほどなので、実質的には最軽量といっても良いくらいだと思います。

 軽さだけでは性能は測れないものの、反発力・フィット感などに差を感じない場合には、当然軽量なシューズを選んだ方が明確なアドバンテージになります。

 厚底レーシングシューズの性能が並んできたからこそ軽量性の影響度が大きくなり、決め手の1つになりやすくなったように感じます。

実走レビュー

サイズ感・履き心地

メタスピードエッジTOKYO サイズ感

 サイズ感は普通です。パリシリーズよりは若干小さいくらいに感じました。

 レーシングモデルなので0.5cm下げても良いかなとも思いましたが、それでも履けるけど若干つま先が当たる感覚がありました。

モーションラップアッパー3.0
モーションラップアッパー2.0

(1枚目)モーションラップアッパー3.0 (2枚目)モーションラップアッパー2.0

 アッパーは「モーションラップアッパー3.0」にグレードアップしたようですが、履いた感覚はほとんど同じでした。

 拡大写真を観察してみると、緯糸(よこいと)が細くピッチが小さくなっていることが分かりました。

 恐らくですが、経糸(たていと)はTPUなどの伸びやすく戻りやすい材質、緯糸は伸びにくい材質で、ホールド力と復元性(キックバック性)を両立した性質を持たせています。

 より細かくいうと、進行方向に対してはしっかりホールドし、横方向には若干の伸縮を許すなどの性質を、糸の太さや感覚を部位ごとに調整しています。

 モーションラップアッパー3.0はは緯糸のピッチが小さくなることで通気孔が小さくなり、理論的には2.0よりは伸びにくくなっているのではないかと思いました(ただ、履いてもそこまで分かりませんでした)。

これぞ厚底シューズといったライド感

メタスピードエッジTOKYO 着用写真

 アシックスの最速3モデル(レイ、スカイ、エッジ)の中では、エッジTokyoが最もスタンダードで履きやすいシューズだと思います。

 接地した部分が素直に圧縮し、カーボンプレートによって斜め上方向に推進力が生まれ、これぞ厚底シューズといったライド感です。

 厚底シューズといえばヴェイパーフライNext%(Nike)の印象が強い方が多いと思いますが、その感覚が刷り込まれているとすぐに馴染めます。

 エッジパリは全域がFF Turbo Plusだったため少し硬めでしたが、エッジTokyoはFF Leapが大きく圧縮することで、より厚底シューズ感が増しています。

 FF Leapはサッカニーのエンドルフィンエリート2(IncrediRUNフォーム)に似た強いバネ感で、バインバイン(ギュムギュム?)反発が返ってきます。

 柔らかさはサッカニー程ではなく、アディオスプロ4(ライトストライクプロ)やネオビスタ(ミズノエナジーNXT)と同じくらいに感じました。

 ヴェイパーフライ4の圧縮量を超えるくらいには変わっていて、エッジパリの硬めクッションが苦手だった方には嬉しいアップデートになっていると思います。

 1つデメリットを挙げるなら、パリシリーズよりも柔らかくなったことで反発は若干遅くなったように感じます。

 ただし大半のトレーニングでは問題になるレベルではなく、400mトラックを800m〜1500mのペースで走ると気になり始めるくらいです。

 軽量で反発力が強化されているため足は回しやすく、エッジシリーズらしく今まで通りピッチを上げやすいことには変わりません。

 スカイTokyoとの違いは別記事で詳しく記載しますが、エッジTokyoの方が速いペースに対応できるように感じます。

 マラソンペースだけでなく、インターバルなど2分40秒ペースとかまで上げたいのであれば、安定してピッチが上げやすいエッジTokyoが向いていると思います。

メタスピードエッジTOKYO インソール

 ちなみに、インソールにもFF Leapが使用されています(パリシリーズのインソールは、Solyteという一世代前のフォームが使用されていました)。

 インソールは非常に薄いため反発力はほとんど分かりませんでしたが、とにかく細かいところまでこだわって重量を削減しようとしていることが伝わってきました。

どんなランナーにおすすめ?

 メタスピードエッジTokyoは以下のようなランナーにおすすめできるシューズです。

こんなランナーにおすすめ
  • 最軽量クラスのレーシングシューズがほしい
  • アシックスの3モデルの中では、シンプルなライド感が良い
  • 高速レース・高強度のインターバルで使いたい
  • 自分でペースをコントロールしたい

 逆に、以下のようなランナーには合わない可能性があります。

こんなランナーには不向き
  • 圧倒的な反発力を求めている
  • パリシリーズの硬めクッションが好みだった