【Nike】ヴェイパーフライ4 レビュー│シリーズ最軽量だけどシンプル過ぎる?

厚底レーシングシューズの定番であるヴェイパーフライ(Next%)4は、シリーズ最軽量でスピード寄りのスペックになりました。
まさかの値下げで定価は3万円を下回り、購入を考えている方は多いのではないでしょうか。
本記事ではヴェイパーフライ4の性能・使用感について、旧モデルや他社製品と比較しながらレビューします。
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目次
ヴェイパーフライ4 基本情報
- 発売日:2025/3/1
- 定価(税込):¥29,700
- 重量:168g(27.0cm), 148g(25.0cm)
- 厚さ:35mm
- ドロップ:6mm
- ミッドソール:ZoomX + Carbon Plate
- カテゴリー:レーシング
- 主な用途:ロードレース・マラソン(~サブ3)、インターバル、LT走、ロング走
- 約20g軽量化
- スピード練習全般に対応
- シンプルで扱いやすい
- 約6,000円値下げ
- クッション性は少し低下
ヴェイパーフライ4の特徴
大幅な値下げで2万円台に

元祖厚底カーボンシューズであるヴェイパーフライは、発売当初はインパクトが大きく競合製品も少なく独占状態でした。
比較的シンプルで外す心配がないため選ばれやすく、厚底シューズの定番ともいえる地位を確立していました。
価格が高くても売れるような状態が続いており、ナイキの様々なモデルが値上げされてきました。
しかし最近は他社製品との性能差がほぼなくなり、またヴェイパーフライ3の評価が分れたこともあり、シェアは大きく低下しています。
このためか、ナイキはボメロ18をはじめ2025年モデルから値下げをするようになり、特に日本では値下げ幅が顕著にみられます。
箱根駅伝の着用率はかなり重要視している印象があり、2025年で3位まで落ちたのは相当なマイナスインパクトだったと思います。
ヴェイパーフライ4も値下げの対象で、定価は前作よりも6,000円以上安い29,700円となりました(ヴェイパーフライ3も発売当初は29,700円でした)。
3万円を下回ったことでアシックス、アディダス、プーマと同じ価格帯となり、今後値上げがなければ価格のみで選択肢から外されることは少なくなったといえます。
薄底化でシリーズ最軽量
メーカー | 重量 | |
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Vaporfly 4 | Nike | 168g |
Metaspeed Paris | Asics | 185g |
Deviate Nitro Elite 3 | Puma | 198g |
Adios Pro 4 | Adidas | 200g |
Alphafly 4 | Nike | 202g |
ヴェイパーフライ4のミッドソールには前作同様にズームXが使用され、カーボンプレートが内蔵されています。
ただし形状は大きく変更され、40mm近くあった厚さは35mmとなり、ドロップは8mmから6mmに変更されました。
特に後足部の厚さの減少が軽量化に大きくつながっており、今までよりもスピード寄りのスペックになったといえます。
重量(25.0cm)は実測148gでした。同サイズのヴェイパーフライ3が165gだったので、20gほど軽量化された計算です。
現環境で最軽量であったメタスピードパリシリーズよりも数グラム軽く、他社製品と比較しても軽さで優位点があります。
厚底レーシングシューズとしてはミニマルな設計で、反発力が特徴のアルファフライ3とより差別化された印象で、選びやすくなったように思います。
実走レビュー
サイズ感・履き心地

サイズ感は今までと変わらず普通です。歴代シリーズを持っていれば、同じサイズで良いと思います。
前作のヴェイパーフライ3は、アッパーが硬めでつま先周りが広く、足を完全にロックすることは困難でした。
逆にいえば快適なのでトレーニングでは多用していましたが、エネルギーロスがありそうでレースでは使いづらく感じていました。
しかしヴェイパーフライ4ではアッパーが柔らかくなったことで足の形状に追従し、ホールド力が強くなったように思います。
歴代モデルで一番シンプル

ライド感はシリーズで一番シンプルで、厚底感が強すぎず万人受けするようなライド感だと思いました。
ヴェイパーフライ3で柔らかくなったズームXは初代・2代目モデルの硬度と同等に感じられ、柔らかすぎずクセがありません。
また、プレートの角度は15度から20度になったようですが、やはり硬さの影響なのか前に押される感覚は今までより控えめです。
アディオスプロ4(Adidas)、シエロX1 2.0(HOKA)などにみられるようなロッカー形状もほとんど感じられません。
このようにアグレッシブではないものの、スピードを上げればしっかりと反発が返ってきます。
厚さは減少したもののドロップも減少しているため、前足部の厚みはほとんど変わっておらず、そこまで反発力が落ちた感覚もありません。
少し反発力が落ちていたとしても軽くなったメリットが大きく、キロ3を切っても今まで通り快適に走れます。
シンプルさを強調しすぎたものの履いてみれば普通に良いシューズだと思える感触で、無難とはいいつつ本気でタイムを狙う選択肢として考えて良いと思えました。
ただし、ペースがキロ4を超えてくると徐々に反発力が感じづらくなるため、そのような場合は平凡な性能に感じるかもしれません。
最初、東京マラソン2025のEXPOにてトレッドミルで緩く走った際は、正直良さはほとんど分かりませんでした。
スピードに乗って反発が得られるかで印象が大きく変わるので、人によって評価が分かれると思います。
ただし、ペースが落ちた際のアシスト不足はありつつも、ライド感がシンプルなため走りづらいことはなく、そういった意味ではプラスだと思いました。
10km〜ハーフマラソンが最適

厚さが35mmに削減されたため、それだけクッションは低下しているように感じました。
他社製品で例えると、アシックスのメタスピードパリシリーズとプラスシリーズの間くらいのクッションです。
特にフォームの圧縮を利用してパワーで押し切るタイプの方にとっては、少し物足りないかもしれません。
逆に、体重が軽い方など大きなクッションを必要としない場合は、軽量なヴェイパーフライ4が合う可能性が高いと思います。
フルマラソンも普通に走れるとは思うもののベストではなく、私は10km〜ハーフマラソンで一番性能を発揮しやすいと感じました。
厚底すぎないためトラックでも使いやすく、かといってクッションが低いわけではなく、考えようによっては使用範囲はむしろ広くなったようにも思いました。
どんなランナーにおすすめ?
ヴェイパーフライ4は以下のようなランナーにおすすめできるシューズです。
- 軽量でシンプルなレーシングシューズが欲しい
- 高価な買い物のため外したくない
- ヴェイパーフライ1,2の硬度が好みだった
- スピードの出しやすさを重視したい
逆に、以下のようなランナーには合わない可能性があります。
- アルファフライのような反発力・クッションが欲しい
- シューズのアシストで楽に走りたい