【NB】FuelCell SuperComp Elite v5 レビュー│スリム化したけどまだ優しい
FuelCell SuperComp Elite v5(以降、SCエリートv5)は、ニューバランス最速のマラソン向けレーシングモデルです。
SCエリートv4からスリム化されてレーシング仕様となり、その性能を期待している方は多いと思います。
そこで本記事では、SCエリートv5の特徴・使用感について、他社製品と比較しながらレビューしていきます。
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目次
FuelCell SuperComp Elite v5 基本情報
- 発売日:2025/8/7
- 定価(税込):¥29,700
- 重量:205g(27.0cm)
- 厚さ:40mm
- ドロップ:8mm
- ミッドソール:FuelCell(PEBA) + Carbon Plate
- カテゴリー:レーシング
- 主な用途:ロードレース・マラソン(サブ3〜サブ3.5)、インターバル、LT走、ロング走
- 約30g軽量化
- よりアグレッシブなプレート
- 大きく沈まず扱いやすい
- レーシングモデルとしては耐久性が高い
- まだ推進力は優しい
FuelCell SuperComp Elite v5の特徴
FuelCellのエリートモデルの5作目ではありますが、3代目まではTPUベースのフォームを使用していました。
TPUは柔らかいもののエネルギーリターンや応答性は高くはなく、もちっとした感触でスーパーフォームとはいえない性能でした。
このため4代目から多くのメーカーも採用しているPEBA製のフォームに切り替え、ようやくスタートラインに立てた感がありました。
ただしSCエリートv4はレーシングモデルとしては幅広で、重量は240g近くあり、大人しく扱いやすい印象でした。
このためかSCエリートv5ではソールの余分な部分をカットし、スリム化することで重量は30g近く削減されました。
これにより重量(27.0cm)は約205gとなり、最速モデルとしては超軽量までとはいえないものの、許容できる範囲に入ってきたといえます。
軽量化は主に幅を狭めたことが大きく影響していますが、ドロップを4mmから8mmに変更した(戻した)ことも少し効いていると思われます。
また、カーボンプレートも変更されており、剛性を高めつつ屈曲点が後ろにずれて角度が立ったため、SCエリートv4よりアグレッシブに感じられるようになりました。
実走レビュー
サイズ感・履き心地
サイズ感はぴったりですが、スリム化されているため幅はちょうどフィットするくらいでした。
私は狭いとは感じませんでしたが、SCエリートv4で狭く感じていたなら、サイズは上げた方が良いと思います。
つま先周りはそこそこ広いため、中足部でしっかりホールドされるイメージでした。
全体的な印象としてクセはほとんどなく、厚底カーボンシューズ特有の硬さ・歩きづらさがないため、前作ほどではないものの万人受けするような履き心地だと思います。
確実に良くなったけどまだ優しい
ニューバランスのエリートモデルをしっかり履くのは初代モデル(RCエリートv1)以来なので、当時のTPUフォームと比較しながらレビューしていきます。
新しいPEBAフォームは硬度自体は大きく変わっていない感覚ですが、反発力・レスポンスは明らかに良くなっています。
当時の丸みを帯びた形状から直線的なシルエットに変わっており、その見た目の通りもちもちさ(鈍さ)がなくなりました。
このため足の回しやすさが改善されており、間違いなく性能は追いついてきています。
ただし、他社のスーパーフォームと比べるとやや硬めの配合で、それゆえ弾力感は控えめな印象を受けました。
決して反発力が低いことはないですが、メタスピードパリ(Asics)、アディオスプロ3(Adidas)、ヴェイパーフライ3(Nike)といった一世代前のモデルと同じくらいに感じます。
このため、現行モデルのメタスピード東京(Asics)、アディオスプロ4(Adidas)などに慣れていると物足りないかもしれません。
フォームの硬度があるため傾斜がついたプレートの存在感もそこまでなく、アグレッシブではなく優しさが感じられます。
重視するポイントは人それぞれありますが、少なくとも推進力の強さで選ばれることはないと思います。
重量に関してもかなり軽くなりましたが、今の基準では200g前後だと優位性はなく、まだ一歩遅れている感は否めません。
やや主観が入りますが、ニューバランスは開発スパンが他社よりも短く、それゆえ大胆な変更ができずブレイクスルーできていないイメージがあります。
ニューバランスに乗り換えようとしても決め手に欠けるため、エリート向けとするならもっと性能にパラメータを振り切っても良いと思いました。
レーシングモデルとしては安定感が高く扱いやすい
レーシングモデルとしては反発力は控えめでしたが、前作同様に扱いやすい点がメリットだと思います。
接地面積は狭まりましたが、PEBAフォームにある程度の硬度があるため、まだ他社製品と比較すれば安定感はあります。
強引に前に押される感覚がなく、大きく沈み込むこともないため、ジョギングペースでも走りづらさはほとんど感じませんでした。
過度な負担がかからないため足持ちが良く、仮にレース後半に失速したとしても大きくは崩れにくいと思います。
また、アウトソールがレーシングモデルとしては厚く、耐久性が高い点もメリットだと思います。
ここが重量増加の一因ともなり得るためトレードオフになりますが、コスパ重視なら悪くない選択肢になります。
安定感があり扱いやすく定価は30,000円を切っており、トレーニング用、またはサブ3.5向けと考えればかなり良いシューズに見えてきます。
どんなランナーにおすすめ?
FuelCell SuperComp Elite v5は以下のようなランナーにおすすめできるシューズです。
- 安定感・扱いやすさを重視したい
- コスパも求めている
- 大きく沈み込むシューズが苦手
- レース後半の失速が不安
逆に、以下のようなランナーには合わない可能性があります。
- 圧倒的な推進力で進みたい
- 他社のシューズが合っていて、特に乗り換える理由がない

