【NIKE】エアズームヴィクトリー レビュー│1500m3分46秒が出ました!
ナイキの中距離スパイクであるエアズームヴィクトリーのレビューをします。旧ヴィクトリーとの比較も行います。
ズームXドラゴンフライとの比較については、以下の記事を参照してください。
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ナイキの1500m〜10000m用スパイクであるズームXドラゴンフライのレビューをします。エアズームヴィクトリーとの比較も行います。
基本スペック
商品画像の引用元:nike.com/jp
エアズームヴィクトリーは800m~5000m用の中距離スパイクです。
前足部にZoom Airユニットが搭載されていることが大きな特徴で、非常に高い反発力が生み出されます。
中〜高速部・つま先下にはズームXが使用され、ズームXとZoom Airの上側にカーボンプレートが配置された構造となっています。
重量(25.0cm)はピン6本込みで実測117gでした。また、厚さは実測20mmでした。WAでも20mm以下と承認されているため短距離種目でも使用可能です。
サイズ感は丁度良く、普段と同じサイズで良いと思います。ドラゴンフライやヴェイパーフライと同じくらいと考えて大丈夫です。
エネルギーリターンが非常に高い
エネルギーリターン率とは、着地時に生まれるエネルギーをどれだけ推進力に変換できるか(散逸させないか)を示したパラメータです。反発力とほぼ同等の意味合いです。
ミッドソールに使用されているズームXは、ナイキのフォーム材の中で最もエネルギーリターン率が高く、その数値は80%前後と報告されています。
前モデルのズームヴィクトリー3などに使用されていたクシュロンは65%程度とされているので、ズームXのエネルギーリターン率の高さが際立ちます。
さらに、前足部に使用されているZoom Airに関しては90%と非常に高いエネルギーリターン率を実現しています。
耐久性は低い
Zoom Airはエネルギーリターン率が非常に高く、さらにクッション性にも優れたユニットですが、耐久性に課題があります。
特にZoom AirとズームXの接合部が裂けやすく、定価が19,800円であることを考えるとコスパは低いです。
他にもZoom Airがパンクしたり、アッパーのアトムニットが裂けることも少なくありません。
私は練習とレースを合わせて15~20回くらい使用したところで、Zoom AirとズームXの接合部が裂けました(まだ普通に使用はできます)。
このように、耐久性が低いため練習での多用は避けたいところですが、Zoom Airのクセがやや強いため履きこなせるまでに時間がかかることが多いです。
このため、初めは耐久性のことを気にしながらも練習で何回か試しておく必要があるのが厄介です。
予算内であれば、練習でも気兼ねなく履けるように2足持っておくのも良いと思います。
旧ヴィクトリーとの比較
エアズームヴィクトリーが発売される前の中距離スパイクに、ズームヴィクトリー3とズームヴィクトリーエリート2というモデルがありました。
ヴィクトリー3とヴィクトリーエリート2の見た目は全く同じですが、エリート2の方がプレートが硬くて上級者向けです。
従来、スパイクは軽量でシンプルな形状が当たり前と考えられており、旧ヴィクトリーも最小限の構造でした。
しかし、ナイキは厚底シューズの発売から、重量を少しだけ犠牲にしてでもエネルギーリターンを高くする方向性にシフトしました。
この方向性はスパイクにも適用され、旧ヴィクトリーのフォーム材であるクシュロンは、エアズームヴィクトリーやドラゴンフライではズームXに変更され、かつ増量されました。
また、重量は増加したといっても10g程度で、パフォーマンスに大きな差が生まれる違いではありません。
むしろ、重量増加のデメリットよりも、エネルギーリターン率が向上して多くの推進力が生まれるようになったメリットの方が大きいです。
このことは、エアズームヴィクトリーやドラゴンフライが発売されて以降、トップ選手の記録が底上げされていることからも裏付けられます。
逆にエアズームヴィクトリーが劣る点は、耐久性の低さと上級者でないと履きこなせない点です。
これらの点が気になる場合は旧ヴィクトリーでも良く、2022年モデルではドラゴンフライやズームマンバ5が選択肢になります。
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レースで使用した結果
1500m
タイム | 大会名 | 年月 | |
---|---|---|---|
1回目 | 3'58"81 | 東海大記録会 | 2020/10/18 |
2回目 | 3'48"47 | 日体大長距離 | 2021/4/24 |
3回目 | 3'46"24 | 東日本実業団 | 2021/5/15 |
エアズームヴィクトリーを購入したのは2020年10月2日で、レースでの初使用は2週間後の10月18日でした。
レース前までに2回練習で使用しかなりの好感触でしたが、初使用のレースでは自己ベストよりも10秒以上遅い3分58秒かかってしまいました。
調子が悪かったからなのかスパイクに慣れていなかったからなのかは分かりませんが、この時は全く噛み合っていない感じがありました。
その後は冬季練習で半年間練習で使用し、2回目レースでは自己ベストに迫る3分48秒、その1ヶ月後には3分46秒の自己ベストを出すことができました。
2回目以降でタイムが伸びたのは、やはり慣れが大きいと思います。元々ヒールストライクに近い走りなので、Zoom Airで上手く着地できていなかったのかもしれません。
また、旧ヴィクトリーよりも脚が最後まで残る感覚がありました。Zoom Airは反発力が凄まじいですが、クッションの役割も果たしていそうです。
5000m
1500mで自己ベストを出すことができたので、5000mでも一度だけ試してみました。
自己ベストは2018年に出した14分30秒で、そのレース以降は一度も5000mを走っていません。
この時から3年間空いていて走力も伸びているので、シューズ補正で軽く14分20秒くらいは出るかなと思って出場しました。
その結果、、、14分43秒かかってしまいました。
コンディションが合わなかったもありますが、脚が持ちませんでした。ダウン中につりそうになるくらいには脚を使っていました。
個人の走り方にもよりますが、キロ3(3'00"/km)前後のペースでは十分に性能が引き出せない感覚があります。
5000m以上の距離でも走れる方もいますが、専門種目が長距離寄りであったり、月間走行距離が多く脚ができている方が多い印象です。
一度で決めつけるのは早いですが、体重50kg・月間走行距離も250km程度の私では5000mは厳しかったです。
まとめ
エアズームヴィクトリーの特徴・感触をまとめると以下のようになります。
- 前足部にZoom Airを使用
- エネルギーリターン率が非常に高い
- ミッド〜フォアフットが前提
- 耐久性は低い
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