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インターバル走の効果、ペースを紹介│レペティション、LT走との違いも解説

 インターバル走の効果や適正ペースについて紹介します。レペティション(レペ)、LT走(クルーズインターバル)との違いについても解説します。

インターバル走とは

 ランニングを始めたばかりの頃はジョギングだけでも走力は大きく向上しますが、どこかで記録が頭打ちになってしまうと思います。

 理由は身体がジョギングの負荷に慣れてしまったためで、速く走るためにはさらに大きな負荷を身体に与える必要があります。

 ここで有効なのがインターバル走で、疾走レスト(ジョギングorウォーキング)を交互に繰り返すことで様々な効果を得ることができます。

 また、トレーニング時間がジョギングよりも短いものの得られる効果が大きいため、記録を向上する上で非常にコストパフォーマンスに優れています。

 疾走区間をレストで挟む理由は、疾走区間のみでは強度が高いためです。基本的には疾走時間が長いほど得られる効果が大きいので、レストを挟むことで疾走時間を稼ぎます

 インターバル走は疾走区間のペースによって大きく3つに分けることができます。それぞれ主な効果が異なり、反復数・レストの長さも変わってきます。

インターバル走の種類・効果

ロングインターバル

ロングインターバルの効果

ロングインターバルによってVO2maxが60→62に向上した例(数値はイメージです)

 ロングインターバルの主な効果VO2max(最大酸素摂取量 ≒ スピード持久力)の向上です。単にインターバル走と呼ぶ場合、ロングインターバルを指すことが多いです。

 上のグラフは横軸が速度(ペース)、縦軸がVO2(酸素摂取量)で、速度が上がるほどVO2が増えていくことを示しています。

 グラフではVO2max(縦軸の最大値)が60→62まで向上したことを示しています。VO2maxが向上すると多くの酸素を筋肉に送ることができ、速いペースを維持できるようになります。

 この例ではvVO2max(VO2max時の速度)が3'20"/km → 3'15"/kmに向上しています。走力の最大値が底上げされたイメージを持っても良いと思います。

 VO2maxを向上するためには単純にvVO2max付近でのトレーニングが有効で、おおよそ5000mのレースペースと一致します。

Iペース

 ダニエルズの指標(VDOT)ではIペース、ガーミンの心拍ゾーンではゾーン5(最大心拍数の90〜100%)に入ります。

 インターバル走の効果を多く得るためには、VO2max到達状態でできるだけ多くの時間を蓄積する必要があります。

 ただし、vVO2max(Iペース)は強度が高く長時間走り続けることは困難なので、一度の疾走区間が長すぎると逆効果になる恐れがあります。

 一方で、回復状態からVO2maxに達するまでには少し時間がかかるので、ある程度は持続して走り続ける必要もあります。

 これらのバランスを考慮すると、インターバル走の適切な疾走区間は400m〜1200m、レスト(休息時間)は疾走時間と同等(または少し短いくらい)が適切になります。走行距離は合計5000m〜6000m前後にすることが多いです。

 このため、王道の1000mのインターバルではレスト3分(400mjog)、400mのインターバルではレスト1分(200mjog)前後が目安になります。

練習例
  • 1000×5 rest:200~400jog
  • 800×6 rest:200~400jog
  • 1200×4 rest:400jog
  • 400×12 rest:200jog

▲これらの練習の組み合わせも有効です

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ショートインターバル(レペティション)

ショートインターバルの効果

ショートインターバルによってvVO2maxが3'20"/km → 3'15"/kmに向上した例(数値はイメージです)

 ショートインターバルの主な効果はスピード強化ランニングエコノミー(RE)の改善です。

 主に800m~1500mの選手が行うトレーニングですが、マラソンの選手も速いペースに慣れることでレースペースが楽に感じるようになり、ゆとりを持って走ることができます。

 グラフは先ほどと同様に横軸が速度(ペース)、縦軸がVO2(酸素摂取量)で、REが改善したことを示しています。

 グラフが右にシフトするようなイメージで、同じ速度における酸素摂取量が少なくなるため、vVO2maxが3'20"/km → 3'15"/kmに向上しています。

 (グラフではVO2maxを60で固定していますが、ショートインターバルで向上しない訳ではありません。ただしロングインターバルよりも一度の疾走時間が短く、合計の走行距離も短いため効果は小さいです。)

 ショートインターバルの距離は200m〜600m程度と短く、レストは疾走時間の2〜3倍が目安です。

Rペース

 ペースは1500mのレースペースが目安になります。ダニエルズの指標(VDOT)ではRペース、ガーミンの心拍ゾーンではゾーン5に入ります。

 vVO2maxよりも速くて強度が高いため、合計の走行距離は3000m〜4000m以内に抑えることが多いです。

 このペースのトレーニングはレペティションと呼ばれることもありますが、人によっては捉え方は様々で定義は曖昧です。

 例えば、中距離選手がレペティションと呼ぶ場合はさらに速いペース(≒800mのレースペース)を十分長いレストを挟んで数本行うトレーニング(600×3, Rest:15minなど)を指す場合もあります。

練習例
  • 400×8 rest:400jog
  • 200×15 rest:200jog
  • 300×10 rest:300jog
  • 600×4 rest:600jog

▲これらの練習の組み合わせも有効です

クルーズインターバル(LT走)

クルーズインターバルの効果

クルーズインターバルによってLTが3'44"/km → 3'37"/kmに向上した例(数値はイメージです)

 クルーズインターバルの主な効果はLT(乳酸性閾値)の向上で、簡単にいうとスタミナを向上することができます。

 LTとは血中乳酸濃度が急激に高くなるタイミングの運動強度(ペース)を指し、LTペースを超えたあたりから一気に辛さを感じるようになります。

 グラフの例では、LTがVO2maxの84%(3'44"/km) → 88%(3'37"/km)に向上したことを示していていて、それだけ自分にとって速いペースを維持できるようになります。

 ロングインターバルでは走力の最大値を底上げするイメージでしたが、クルーズインターバルでは同じ走力の中で最大限に力が発揮できるようになるようなイメージです。

 LTを向上するためには単純にLT付近でのトレーニングが有効で、おおよそハーフマラソンのレースペースと一致します。

Tペース

 ダニエルズの指標(VDOT)ではTペース、ガーミンの心拍ゾーンではゾーン4(最大心拍数の80〜90%)に入ります。

 LT走ともいわれますが、疾走区間を分割する場合にクルーズインターバルと呼ばれます(分割しない場合はテンポ走)。

 クルーズインターバルの疾走距離は1600m〜2000mが代表的で、レストは1〜2分、合計の疾走距離は8000m以上にすることが多いです。

練習例
  • 1600×5 rest:200〜400jog
  • 2000×4 rest:200〜400jog
  • 3000×3 rest:400jog

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練習への取り入れ方

インターバル走 ぺース予測

Vdot Calculatorを用いたトレーニングペースの予測

 ここまで3種類のインターバル走の目安のペースをレースペースで例えましたが、Vdot Calculatorを使用してペースを推測することもできます。

 使い方は種目自己ベストを入力して「Calculate」を押すだけです。種目は5000m〜ハーフマラソンにすると精度が高いことが多いです。

 Trainingタブを選択すると、各トレーニングの適正ペース一覧が表示されます。

 この中で、本記事で紹介したロングインターバルは「Interval」、ショートインターバルは「Repeition」、クルーズインターバルは「Threshold」に対応します。

 これら3種のインターバルはどれか1つばかりを行うのではなく、競技特性に合わせてバランス良く取り入れることが大切です。

 オフシーズンは走行距離を稼ぎつつもスピードトレーニングでベースを作り、徐々にレースペースに近づけていくことがおすすめです。

 例えば私は1500mが専門種目ですが、冬期クルーズインターバルやスプリントトレーニングが中心です。ロングインターバル、ショートインターバルの割合は少なめです。

 その後、レースが近づくにつれてロングインターバル、ショートインターバルの割合を増やしています。

 インターバル走は強度が高いため、頻度は多くても週2回、慣れていない方は週1回で良いと思います。

 練習メニューの組み立て方や具体的などは多くのランナーが参考にしている「ダニエルズのランニングフォーミュラ」に詳しく書かれています。

 トレーニング方法に関する用語・知識が一通り身につくので、気になる方はチェックしてみてくだざい。

まとめ

 本記事では紹介した3つのインターバル走の目安の疾走距離、合計疾走距離、レスト、ペース、効果を以下にまとめました。

 インターバル走に慣れていない方は、ペースを落とす、レストを長くするなど調整し、徐々に負荷を高めていっても大丈夫です。

疾走距離 合計疾走距離 レスト ペース 効果
ロングインターバル 400m〜1200m 5000m〜6000m前後 疾走時間と同等 5000m VO2max向上
ショートインターバル 200m〜600m 3000m〜4000m以下 疾走時間×2〜3倍 1500m スピード向上RE改善
クルーズインターバル 1600m〜2000m 8000m以上 1〜2分 ハーフマラソン LT向上

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