アシックスの厚底スパイク2024年モデル8足を比較!FF Turbo、Blastの違いは? – Unattached Runner
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アシックスの厚底スパイク2024年モデル8足を比較!FF Turbo、Blastの違いは?

アシックス 厚底スパイク 2024

商品画像の引用元:asics.com

 アシックスの厚底スパイク(2024年モデル)8足を比較し、違い・見分け方を解説します。フォーム材のFF Turbo/Blast+/Blastの違いも解説します。

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フォーム材の違い

 アシックスの厚底スパイクは見た目が似ており見分け方が難しいですが、ミッドソールに使用されるフォーム材やプレートの材質ピンの数・配置などが異なります。

 使用されているフォーム材はFF Blast Turbo(FF Turbo)、FF Blast+、FF Blastの3種類で、アシックス公式では以下のように紹介されています。

  • FF Blast+はFF Blastよりも19%軽量
  • FF Blast TurboはFF Blastよりも33%軽量で、13%高反発

 これらの情報と実際の使用感から、3つのフォーム材の特性を以下のように整理しました。

反発力 軽量性 安定性
FF Turbo ★★★ ★★★
FF Blast+ ★★ ★★ ★★
FF Blast ★★ ★★★

 いずれも反発力に優れたフォーム材です。以下では、各フォーム材の特徴を解説します。

FF Blast Turbo

 FF Blast Turboはマラソン最速モデルのメタスピードスカイ+/エッジ+にも使用されているフォーム材です。簡易的にFF Turboと記載されることもあります。

 アシックスで最も高性能な位置付けのため、高価格帯のハイエンドモデルのみに使用されています。

 ナイキのズームXと同じPEBAベースの材質で、アシックス公式では「軽量フォーム材の中で最も反発性に優れた」との記載がされています。

 あえて「軽量フォーム材の中で」と付け加えているところに引っかかりますが、FF Turboよりも反発力が高いフォーム材は見当たらないので、アシックスで最も反発力に優れたフォーム材と考えて良いと思います。

FF Blast+

 FF Blast+は、次に紹介する通常のFF Blastよりも19%軽量なフォーム材です。材質はFF Blastと同様にEVAベースであるため、単純にFF Blastの軽量版と考えて良いと思います。

 EVAベースのためFF Turboよりも温度影響が大きく、暑ければ柔らかく、寒ければ硬くなりやすい特性があります。

 FF Turboよりも安定性は高いものの、軽量性・反発力は劣るため、最上位モデルにFF Blast+が採用された実績はありません。

 乗り心地は、FF Turboは反発力を短時間で返すスーパーボールのようなイメージですが、FF Blast+はしっかりと衝撃を吸収した上で反発力を返すトランポリンのようなイメージがあります。

 FF Blast+はデイリートレーナーに使用されることも多く、ゲルカヤノ30・マジックスピード3・ノヴァブラスト4などにも採用されています。

FF Blast

 本記事で紹介する3つのフォーム材の中で最初に登場した材質です。FF Blastの「FF」は、FlyteFoam(フライトフォーム)と呼ばれるフォーム材が由来です。

 FlyteFoamは軽量で安定性・耐久性に優れたやや硬めのフォーム材で、FlyteFoamの反発版として派生したのがFF Blastです。

 FF Blast Plusよりも重いため採用されることが少なくなりましたが、安定性が求められるモデルには現在も使用されています。

 耐久性も比較的高いためトレーニングとの相性が良く、ターサーRP3・エボライドスピード2といったモデルに用いられています。

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スペック・搭載技術比較

 厚底スパイク8足のスペック・搭載技術の比較表を作成しました。

種目 定価(税込) 重量(27.0cm) ピン ミッドソール プレート
メタスピードSP 100m~200m ¥29,500 159g 7本 FF Turbo カーボン
ソニックスプリントエリート3 100m~400m ¥28,500 175g 7本 FF Blast カーボン樹脂
ジェットスプリント3 100m~400m ¥28,500 170g 7本 FF Blast カーボン樹脂
メタスピードMD 800m~1500m ¥29,500 160g 6本 FF Turbo カーボン
コスモレーサーMD3 400m~1500m ¥24,500 180g 6本 FF Blast+ カーボン樹脂
メタスピードLD 3000m~10000m ¥27,500 137g 0本 FF Turbo カーボン(アウトソール)
メタスピードLD LE 3000m~10000m ¥25,000 137g 4本 FF Turbo 樹脂(アウトソール)
コスモレーサーLD3 3000m~10000m ¥22,000 155g 4本 FF Blast+ 樹脂(アウトソール)

見切れている場合横にスクロールできます

 表に示したように短距離用が3モデル、中距離用が2モデル、長距離用が3モデルあります。

 モデル名に「メタスピード」が付いているのが最上位モデルで、それ以外が中級者モデルになります。

見分け方

 全8モデル見分けるためには、まずミッドソール側面に記載されたフォーム材から絞り込むのが良いと思います。

 最上位のFF Turboであればメタスピードシリーズ、FF Blast+であればコスモレーサーシリーズ、FF Blastであればソニックスプリントエリート3かジェットスプリント3となります。

 FF Turboが搭載された厚底スパイクは4モデルありますが、ミッドソール上部にカーボンプレートがあればメタスピードSP、またはMDとなります。

メタスピードSPとMDの違い

商品画像の引用元:asics.com

 メタスピードSPMDの主な違いは以下の通りです。ぱっと見では、この2つを見分けるのが一番難しいです。

  • ピンの数がSPは7本、MDは6本 (①)
  • SPはつま先までアウトソールが伸びている (②)
  • MDはアッパーの通気孔が後足部まで伸びている (③)
  • MDは後足部がSPよりも厚い (④)

 このようにメタスピードSPは強力なスプリント動作をサポートするために、安定性を高めた構造となっています。

メタスピードLDとLD LEの違い

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 メタスピードLDLD LEの見分け方は簡単で、アウトソールにピンがついていればLD LEと断定できます。

 アッパーとミッドソールは全く同じなので、見分けるポイントはアウトソールのみとなります。

ソニックスプリントエリート3とジェットスプリント3の違い

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 FF Blastが搭載されたソニックスプリントエリート3ジェットスプリント3違いはソール形状のみです。

 知っている方が多いと思いますが、前足部が大きく反っていればソニックスプリントエリート3、フラット形状であればジェットスプリント3です。

コスモレーサーMD3とLD3の違い

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 最後に、FF Blast+が搭載されたコスモレーサーMD3LD3の主な違いを以下に示します。

  • ピンの数がMD3は6本、LD3は4本 (①)
  • MD3はミッドソール上部にカーボン樹脂プレートを配置 (②)

 アッパーやアウトソールのプレートも異なりますが、カーボン樹脂プレートの有無が一番簡単に見分けることができるポイントです。

各モデル詳細

メタスピードSP

メタスピードSP

商品画像の引用元:asics.com

  • 種目:100m~200m
  • 定価(税込):¥29,500
  • 重量(27.0cm):159g
  • ピン:7本
  • アッパー:モーションラップアッパー
  • ミッドソール:FF Turbo
  • プレート:カーボン

 短距離用スパイクの最上位モデルです。メタスピードSP発売前までは、メタスプリントというピンレスカーボンスパイクが最上位モデルでした。

 ピンレス構造は接地時間を短くするために採用されていましたが、厚底化されたことで安定性を高めるためにピンの数を増やすことになったと思われます。

ソニックスプリントエリート3

  • 種目:100m~400m
  • 定価(税込):¥28,500
  • 重量(27.0cm):175g
  • ピン:7本
  • アッパー:モーションラップアッパー
  • ミッドソール:FF Blast
  • プレート:カーボン樹脂

 メタスピードSPの形状を受け継いでいるため見た目は似ていますが、ミッドソールがFF Blast、プレートがカーボン樹脂製である点が異なります。

 メタスプリント(ピンレススパイク)が現行モデルの頃はソニックスプリントエリート2も上位モデルのようなイメージでしたが、今作では明確にミッドレンジモデルとなりました。

 FF Blast+でもなく密度の高いFF Blastを採用した理由は、安定性を高めて中級者でも扱いやすくするためだと思われます。

ジェットスプリント3

  • 種目:100m~400m
  • 定価(税込):¥28,500
  • 重量(27.0cm):170g
  • ピン:7本
  • アッパー:モーションラップアッパー
  • ミッドソール:FF Blast
  • プレート:カーボン樹脂

 ソニックスプリントエリート3のソールをフラット形状にしたスパイクで、足裏全体で接地感が感じられます。

 フラット形状の最上位モデルはないため、今後メタスピードSPにステップアップするなら、慣れておく意味でソニックスプリントエリート3の方が良いかもしれません。

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メタスピードMD

メタスピードMD

商品画像の引用元:asics.com

  • 種目:800m~1500m
  • 定価(税込):¥29,500
  • 重量(27.0cm):160g
  • ピン:6本
  • アッパー:モーションラップアッパー
  • ミッドソール:FF Turbo
  • プレート:カーボン

 中距離用スパイクの最上位モデルです。メタスピードSPからサポート力を落とし、アッパーは軽量化されています。

 ドロップはメタスピードSPが6.5mmですが、メタスピードMDは0.2mm(ほぼフラット)です。後足部に厚みがあることを意味しており、ある程度はヒールストライクにも対応します。

コスモレーサーMD3

  • 種目:400m~1500m
  • 定価(税込):¥24,500
  • 重量(27.0cm):180g
  • ピン:6本
  • アッパー:モーションラップアッパー
  • ミッドソール:FF Blast+
  • プレート:カーボン樹脂

 メタスピードMDの下位モデルです。違いはミッドソールがFF Blast+、プレートがカーボン樹脂製である点です。

 メタスピードMDよりも安定性・柔軟性が高いため扱いやすく、中距離スパイクの初めの一足としておすすめできます。

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メタスピードLD

  • 種目:3000m~10000m
  • 定価(税込):¥27,500
  • 重量(27.0cm):137g
  • ピン:0本(ピンレス)
  • アッパー:HL-0メッシュ
  • ミッドソール:FF Turbo
  • プレート:カーボン(アウトソール)

 長距離用スパイクの最上位モデルです。厚さが20mmを超えているため、2024年11月以降は公認レースで使用不可となります(今後20mm以下に設計したモデルが発売されると思われます)。

 ミッドソール上部にはプレートが配置されておらず、アウトソールにスパイクピンの役割を持つピンレスカーボンヘキサクロウが配置されています。

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アシックスの長距離用スパイクであるメタスピードLD 0を2000mで使用しました。ピンがない特徴的なスパイクなので、その使用感をレビューします。

メタスピードLD LE

  • 種目:3000m~10000m
  • 定価(税込):¥25,000
  • 重量(27.0cm):137g
  • ピン:4本
  • アッパー:HL-0メッシュ
  • ミッドソール:FF Turbo
  • プレート:樹脂(アウトソール)

 メタスピードLDにスパイクピンを搭載したようなスパイクです。メタスピードLDよりも少し安く、下位モデルに位置付けられていると考えられます。

 アウトソールはカーボン製ではなく樹脂(Pebax)製で、カーボンプレートにピンを装着することが技術的に困難であった可能性があります。

コスモレーサーLD3

  • 種目:3000m~10000m
  • 定価(税込):¥22,000
  • 重量(27.0cm):155g
  • ピン:4本
  • アッパー:HL-0メッシュ
  • ミッドソール:FF Blast+
  • プレート:樹脂(アウトソール)

 メタスピードLD・LD LEの下位モデルです。メタスピードLDと異なり、コスモレーサーLD3はソールが20mm以下となるように設計されています。

 コスモレーサーLDは前作(LD2)にもフォーム材は搭載されていましたが、LD3よりも薄く、FlyteFoamであったため、今回のアップデートでクッション性は大きく向上しています。

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