【On】クラウドブームストライク レビュー│バウンス感が半端ない!LSとの違いも解説
クラウドブームストライク(Cloudboom Strike)は、Onの新たなマラソン向けの厚底スーパーシューズです。
エリート選手が履いている場面も多く見かけるようになり、その性能が気になっている方は多いと思います。
本記事では、クラウドブームストライクのレビューを行うとともに、クラウドブームエコー3との違いを解説します。
さらに、LightSpray(ライトスプレー)と呼ばれる特殊な技術を用いた、クラウドブームストライクLSについても紹介します。
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目次
クラウドブームストライク 基本情報
まずはクラウドブームストライクのスペック、メリット・デメリットを紹介します。
- 発売日:2024/7/11
- 定価(税込):¥36,300
- 重量:215g(27.0cm)
- 厚さ:39.5mm
- ドロップ:4mm
- ミッドソール:Helion HF + Carbon Plate
- カテゴリー:レーシング
- 主な用途:ロードレース・マラソン(~サブ3)、インターバル、LT走、ロング走
- 圧倒的な推進力
- 高いクッション性
- クラウドブームエコー3よりも5g軽量
- ホールドが甘い
- 高価かつ値崩れしにくい
歴代モデルおさらい
クラウドブームストライクの特徴を伝えるために、歴代の最速モデルをおさらいします。
定価(税込) | 重量(27.0cm) | 厚さ | ミッドソール | |
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Cloudboom Strike | ¥36,300 | 215g | 39.5mm | Helion HF |
Cloudboom Echo 3 | ¥32,780 | 220g | 37mm | Helion HF |
Cloudboom Echo | ¥29,480 | 225g | 35mm | Helion SF |
Cloudboom | ¥21,780 | 225g | 30mm | Helion SF |
Cloudboom
商品画像の引用元:on-running.com/ja-jp
初期のクラウドブームが発売されたのは2020年です。
この頃はOnの知名度はそこまで高くはなく、技術・トレンドは追いついておらず、独自路線でカチカチで硬めシューズが多かった印象です。
クラウドブームもOn最速モデルとはされていたものの厚底ではなく硬めで、スピードカテゴリーに分類されるようなシューズでした。
改めて整理して気づきましたが、初期モデルは2万円を少し超える程度で「こんなに安かったのか...」と思いました。
知名度・人気の高まりに加えてスイスフラン高も重なり、手軽に購入できなくなってしまったなと感じます(嬉しいような嬉しくないような)。。。
Cloudboom Echo
商品画像の引用元:on-running.com/ja-jp
Cloudboom EchoはCloudboomと構造は大きくは変わっていませんが、ついに厚底化されました。
ただし、当時のOnはPebaxなどを用いた軽量で反発力が高いフォーム材(現在のHelion HF)がなかったため、硬めのHelion SFを使用しています。
このためスーパーシューズと呼ぶことはできず、私はヴェイパーフライ(Nike)に慣れていたためか推進力に物足りなさを感じました。
Cloudboom Echo 3
商品画像の引用元:on-running.com/ja-jp
Cloudboom Echo 3ではついにHelion HF(スーパーフォーム)が採用され、On初のスーパーシューズとなりました。
Helion SFよりも柔らかいフォーム材であるため、OnのトレードマークであるCloudはほぼ不要となり、おまけレベルの大きさになりました。
性能が大きく向上し、国内・海外を問わずトップレベルの選手の着用をよく見るようになってきました。
初代モデルの発売からたった3年で競合モデルに匹敵する性能を実現しており、開発の速さに驚かされました。
ただし、私は一度着用したことがありますが、正直クラウドブームエコー3でもまだ硬く感じてしまいました。
ランナーのタイプや好みによると思いますが、程良く沈んで素早く反発が返ってくるようなライド感が好みなので、やや理想と離れていました(トラックとの相性は良いと感じました!)
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クラウドブームストライク レビュー
新たな発売されたクラウドブームストライクも、Helion HFにカーボンプレートが内蔵された構造であることは前作(エコー3)と同じです。
ただし、Helion HFは当時より明らかに柔らかくなっており、クラウドモンスターハイパーも同様ですがクッションは大きく向上しているように感じます。
厚さは37mmから規定ギリギリの39.5mmまで増量されつつ、重量は5g程度ですが軽くなっています。
そして、何と言っても一番の特徴が、Bounceboard(バウンスボード)と呼ばれる分厚いHelion HF製のインソールを使用している点です。
インソールはレーシングモデルでも3mmはあるので、この3mmを高反発フォームとすることで規定内で極限まで反発力を高めることができます。
普通の薄いインソールを高反発フォームにしても良いのでは?とも思いましたが、柔らかすぎると反ってしまうのかな、と思いました。
足裏に直接Helion HFが接するためか、接地時に伝わるバウンス感は半端ないです。
スーパーブラスト2(Asics)やアルファフライ3(Nike)よりも跳ねる感覚が強く、最後まで足が残るか不安になるくらいの反発です。
Bounceboardはソールに着脱可能で、取り出そうとしたら飛び出してきました(笑)。
Bounceboardを取り外すとSpeedboard(カーボンプレート)が現れ、その下にもう1層のHelion HFが配置されています。
スピードを出していくとBounceboardが大きく圧縮するとともに、Speedboardによって前への推進力に変換されます。
ペースを上げなくてもそこそこ弾みますが、やはり不安定なので使いこなすにはある程度のスピードが必要だと思います。
フォーム材を圧縮する点ではアルファフライ3やメタスピードスカイパリと同じですが、前に押し出される感覚はヴェイパーフライ3やメタスピードエッジパリに似ています。
唯一、アッパーのフィット感は合いませんでした。ここが良ければ完璧だったのに、本当に惜しいです。
まず、サイズ感が大きいです。私は0.5cm下げましたが、それでもレーシングシューズとしては広く感じました。
今まで厚めだった踵回りは薄くなって嬉しかったのですが、ゆとりがあるため固定することが難しいです。
よく見る固定用のパッド(赤色の部分)はありますが、補助的な強度なので違和感は残りました。
クラウドモンスター2など、Onはサイズ感・フィット感が確立されていないように感じられるので、次作(エコー4?)では改善されていると嬉しいです。
クラウドブームストライクLSとは?
クラウドブームストライクLSは、LightSprayという全く新しい製造方法で作成されたアッパーを使用しています。
以下に、通常版とのスペック比較表を作成しました。
Cloudboom Strike | Cloudboom Strike LS | |
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¥36,300 | 定価(税込) | ¥44,000 |
215g | 重量(27.0cm) | 175g |
30以上 | 部品点数 | 7点 |
商品画像の引用元:(左)on-running.com/ja-jp (右)www.on.com/en-us
Lightspray技術については、On公式チャンネルが投稿している以下の動画が分かりやすいです。
見ての通りラスト(足型)にスプレーを吹き付け、シューズをロボットアームで回転させながらアッパーを作成しています(ラストは最後に取り外されます)。
この製造方法により、30以上の部品点数をたったの7点まで減らすことに成功しています(シューレースもありません!)。
- アッパー
- Helion HF ×2層
- Speedboard
- アウトソール ×3箇所
アッパーの重量は30gのようですが、ヴェイパーフライ3のアッパーですら計算上75gだったので、相当軽いと思います。
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通常版との重量差は40gですが、大半がアッパーの軽量化によるものだと思います。
このため、ソールは形状は異なるものの素材次第は恐らく同じで、耐久性は変わらないと考えて良いと思います。
超軽量なのに、アディオスプロEvo1のように履き慣らし+フルマラソン1回分の耐久ではないのは嬉しいです。
LightSprayに関する特許は7件以上出願中のようで、調べてみたところ既に1件公開されていることを確認しました(公開番号WO2024133187A1)。
製造の簡素化・廃棄物の削減・個々のカスタマイズに焦点が当てられていましたがランナーからすれば軽量化が一番嬉しいことだと思います。
まだ販売数が少なく性能・耐久・量産面などわからないことは多いですが、全く新しい技術で期待が高まり、応援したい気持ちになります。
どんなランナーにおすすめ?
クラウドブームストライクは以下のようなランナーにおすすめできるシューズです。
- 反発力強めのレーシングシューズが欲しい
- Bounceboardのバウンス感を楽しみたい
- クラウドブームエコー3が硬く感じた
- Onのスーパーシューズを試してみたい
逆に、以下のようなランナーには合わない可能性があります。
- ぴたりとフィットするアッパーが好み
- 予算が3万円以下