【On】クラウドエクリプス レビュー│サーファー、モンスターとの違いは?
2023年11月に発売されたOnのクラウドエクリプス(Cloudeclipse)は、数少ないCloudTec Phaseを採用した厚底シューズです。
厚底ソールに特殊な形状の空洞が設けられたユニークな見た目をしていて、そのライド感が気になっている方は多いと思います。
本記事では、クラウドエクリプスの特徴・性能をレビューするとともに、同じくクッション性に優れたクラウドモンスター2や、同じ技術を採用したクラウドサーファーとの比較も行います。
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目次
クラウドエクリプスの基本情報
まずはクラウドエクリプスのスペック、メリット・デメリットを紹介します。
- 発売日:2023/11/2
- 定価(税込):¥21,780
- 重量:285g(27.0cm), 252g(25.0cm), 240g(24.0cm)
- 厚さ:40mm
- ドロップ:6mm
- ミッドソール:Helion SF + SpeedBoard(ソール下部)
- カテゴリー:クッション
- 主な用途:ジョギング、ロング走、リカバリー、ロードレース・マラソン(サブ4.5〜完走)、タウンユース
- 高いクッション性
- スムーズな体重移動
- アッパーのフィット感
- 高めの価格設定
- 軽くはない
クラウドエクリプスの特徴
厚底ソールにCloudTec Phaseを採用
クラウドエクリプスは「On史上最も分厚いミッドソール」と宣伝されていますが、その通りで実際測定してみると規定ギリギリの40mmありました。
この厚底ソールには、On定番のCloudTecではなく、CloudTec Phase(クラウドテックフェーズ)を採用しています。
CloudTec Phaseはクラウドサーファーに初めて採用された技術で、Cloudパーツが独立して存在するのではなく、一つのソールに空洞が複数設けられています。
この空洞の形状・配置はFEA(有限要素解析)により計算され、順々に圧縮することでクッション・体重移動が最適されています。
FEAは主に複雑な構造物を解析する際に利用され、解析対象を小さな要素に複数分割し、膨大な力のつり合い式をコンピュータで計算する手法です。
Speedboardをソール下部に配置
Onのシューズには基本的にはSpeedboard(スピードボード)と呼ばれるプレートが、ソール上部または内部に配置されています。
しかしクラウドエクリプスでは、Speedboardがソール下部に配置されています。この配置は、Onのシューズでは初めてです。
(接着剤がはみ出ているように見えますが、性能に関係はなさそうなので目をつぶっておくことにします。)
ソール下部にプレートが配置されるシューズには、他にもターサーRP(Asics)やアディゼロジャパン(Adidas)があります。
このように薄底シューズで見られる構成のイメージだったので、厚底シューズに適用されるのは珍しく感じました。
Speedboardが上部にあるとライド感は硬めになりますが、逆にクラウドサーファーのように非搭載ではぐにゃっとしたライド感になります。
ソール下部の配置はこの間に入るようなイメージで、ねじりを抑制しつつもソフトなライド感を残すことができます。
ただし、推進力というよりはねじり抑制の役割が強く、Speedboardではなく別の名前を付けても良いかなと思いました。
実走・性能レビュー
サイズ感・履き心地
近い時期に発売されたクラウドモンスター2も同様でしたが、サイズ感は大きいです。
普段のサイズでは長さ・幅方向ともにゆとりがあったので、ジョギング用とはいえ0.5cm下げました。
0.5cm下げても当たったり窮屈な部分はなく、これでちょっどフィットしているように感じました。
アッパーは厚すぎず伸縮性があり、柔らかな感触で快適でした。クラウドモンスター2ほどゴツくはなくて、私は丁度良く感じました。
歩いてみると空洞の部分が変形する感覚がありますが、ソール下部のSpeedboardがあるおかけで、40mmの厚さにしては安定感があります。
繰り返し変形することによる耐久性が心配ですが、ある程度へたってきたら普段使いと兼用にしたいと思いました。
機械的なクッションが独特
ソールに体重をかけた状態で撮影
通常クッションを高めるには素材を柔らかくするかソールを厚くしますが、クラウドエクリプスはソールの変形を利用している点が珍しいです。
接地直後はHelion SF(ミッドソール)の硬めの感触がありますが、すぐにソールが変形し、やんわりと反発が返ってきます。
これにより地面から数10mm上を走っているような浮遊効果が感じられ、足を上げることに力を要さず楽な感覚で走れました。
独特なので他のシューズで例えることが難しいですが、クッションレベルはクラウドモンスター2より少し高いくらいに感じました。
やや硬めというレビューを数件見かけましたが、これは公式サイトで「マックスクッション」と記載されており、クッションの期待が高すぎるせいだと思います。
確かにインヴィンシブル3(Nike)、ゲルニンバス26(Asics)のようなふかふか感ではないですが、決して硬くはないと思います。
体重移動がスムーズ
クッションの強さはペースや接地位置で大きく変わるのが面白く、ペースを上げるほど、またSpeedboardがない前足部で接地するほど柔らかく感じます。
相対的に硬めの中足部で接地しても、CloudTec Phaseにより流れるように体重移動がサポートされることで、前足部のクッションを感じることができます。
通常のCloudTecは接地面が離れ小島のようになっていますが、CloudTec Phaseはソールが一体のため、よりスムーズに走れて快適です。
Onのシューズではモンスターやストラトスよりも扱いやすく、重くもないので結構好みです。
ペースは普段のジョギングペースが最適だと思います。私の場合はキロ4分台前半までなら快適に走れました。
速めのペースとして途中で100m流しを5本入れてみたところ、前足部がさらに圧縮しましたが、復元する際に得られる反発力はさほど高くはないように思います。
そもそもHelion SFの反発力が高くなく、Speedboardがソール下部にあるため、予想通りではありました。
弾むといえば弾むのですが、ジョギングやリカバリーなどペースを気にしない場面の使用が合っていると感じました。
クラウドサーファー、モンスター2との違い
クラウドサーファー、モンスター2との違いを整理します。迷った際は、こちらの比較表を参考にしてみてください。
クラウドエクリプス | クラウドサーファー | クラウドモンスター2 | |
---|---|---|---|
定価(税込) | ¥21,780 | ¥19,580 | ¥21,780 |
重量(27.0cm) | 285g | 245g | 295g |
厚さ | 40mm | 35mm | 37mm |
ドロップ | 6mm | 10mm | 6mm |
ミッドソール | Helion SF + SpeedBoard (ソール下部) | Helion SF | Helion SF + SpeedBoard (ソール上部) |
搭載技術 | CloudTec Phase | CloudTec Phase | CloudTec |
商品画像の引用元:on-running.com/ja-jp
クラウドサーファーとの違い
クラウドエクリプスもサーファーもCloudTec Phaseが採用され、ソールに似たような空洞が設けられています。
このため簡単にいえば、クラウドエクリプスはクラウドサーファーの厚底版と表現できます。
ただし実際はそれだけでなく、ソール下部にSpeedboardが配置されている点が大きな違いとなっています。
クラウドサーファーは厚くないソールに穴が空けられているうえにSpeedboardが非搭載のため、エクリプスよりぐにゃぐにゃしたライド感となっています。
厚すぎずプレートがないことで軽さがメリットといえますが、推進力・サポートは高くないのでカジュアルな使い方が合っている思います。
クラウドモンスター2との違い
クラウドモンスター2もクッショニングモデルに分類されていますが、Speedboardがソール下部に位置するクラウドエクリプスの方が少しだけソフトに感じます。
逆にクラウドモンスター2はSpeedboardがソール上部に位置するため、バウンス感・推進力は強く感じます。
ただしクラウドモンスター2は300g近い重さがあるため、適正ペース域はそこまで変わらないように思います。
私はジョギングで使うならソフトなクラウドエクリプスが合っていました。また、体重移動もCloudTec Phaseの方がスムーズで好みです。
性能はさほど変わらないと思うので、見た目で選んでも問題ないと思います。人と被りたくないという理由で、クラウドエクリプスを選んでも良いかもしれません。
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どんなランナーにおすすめ?
クラウドエクリプスは以下のようなランナーにおすすめできるシューズです。
- 反発力よりも走りやすさを重視したい
- クッションを求めているが、ふかふか感は苦手
- クラウドサーファーでは安定感が足りない
- ソール上部にSpeedboardがあると硬く感じる
逆に、以下のようなランナーには合わない可能性があります。
- 軽さ・スピードの出しやすさを重視している
- クラウドモンスターのようなバウンス感を楽しみたい