【Asics】ゲルカヤノ32 レビュー│8mmドロップの影響は?31との違いも解説

ゲルカヤノは高い安定性と快適性を備えた、初心者おすすめの定番シューズです。
30代目で大幅にアップデートされましたが、今作もドロップの変更など性能の見直しが行われています。
本記事では、ゲルカヤノ32の特徴・使用感をレビューするとともに、ゲルカヤノ31との違いも解説します。
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目次
ゲルカヤノ32の基本情報
まずはゲルカヤノ32のスペック、メリット・デメリットを紹介します。
- 発売日:2025/6/26 (6/12先行)
- 定価(税込):¥22,000
- 重量:300g(27.0cm)
- 厚さ:40mm(M), 39mm(W)
- ドロップ:8mm
- ミッドソール:FF Blast Plus + PureGEL + 4D Guidance System
- カテゴリー:スタビリティ
- 主な用途:ジョギング、ロング走、ロードレース・マラソン(サブ5〜完走)、ウォーキング
- 高い安定性・快適性
- 程良いクッション・反発力
- よりスムーズなライド感
- 自然なサポート
- 重量は300gと重め
- 1,100円値上げ
ゲルカヤノシリーズは初心者おすすめの「プロテクションカテゴリー」に分類され、その中でもアシックスを代表するようなシューズです。
安定性・サポート、快適性、クッション、反発力など全てが高い水準で、マラソン完走など長い距離を走ることに適しています。
重量は300gほどあるので、少しクッション・サポートが減っても良いなら軽量版のGT-2000シリーズも選択肢です。
▼アシックスのシューズまとめ
ゲルカヤノ32の特徴
安定性をサポートするソール構成

ソールの構成は30代目から大きくは変わらないですが、改めて解説していきます。
ゲルカヤノ32のソール全域には反発力・クッションに優れた「FF Blast Plus」が使用されています。
意図的かどうかは分かりませんが、今作ではリサイクル素材を示す「Eco」の表記がなくなりました。
FF Blast Plus Ecoの方が少し硬めで安定感はありますが、個人的には程良く弾力感がある通常版が好みです。
また、かかと部分には「PuteGEL (ピュアゲル)」と呼ばれる薄いゲル状の素材が内蔵されており、特にかかと接地の際に衝撃を吸収する役割があります。
そして一番の特徴ともいえるのが「4Dガイダンスシステム」と呼ばれる、安定性と快適性のサポート機能です。
4Dと聞くとすごそうなイメージを持つかもしれませんが、4つの機能(側面)からサポートしているくらいの意味合いです。

4つの機能の中でも特徴的なのが内側に配置されたフォームパーツで、周辺のFF Blast Plusよりも若干柔らかい素材を配置しています。
詳しくはゲルカヤノ31の記事で解説していますが、このフォームパーツが優先的に変形することで接地時の傾きを防止し、さらに反発力で押し戻すことでプロネーションを抑制しています。
従来の硬いパーツを使用した場合よりも突き上げ感が薄れ、快適性も両立できるメリットもあります。
4Dガイダンスシステムの残りの3つは、ソール形状の工夫(横方向・縦方向)、接地面積の拡大を指しています!

またこちらも以前と同様ですが、アウトソールには「Hybrid AsicsGrip (ハイブリッドアシックスグリップ)」を採用しています。
耐摩耗性に優れた「AharPlus」とグリップ力に優れた「AsicsGrip」を、それぞれ必要なエリアに配置しています。
接地面積が広さも合わせてグリップはかなり強力で、濡れた路面でもしっかりと性能が発揮されていました。
ドロップが8mmに減少
今作ではドロップ(ソール前後の高低差)が10mmから8mmに小さくなったことが、一番の変更点と言えるかもしれません。
ソール後足部の厚さは変わっていないため、前足部の厚さが2mm増加したことになります。
一般的に、ドロップを低くすると前〜中足部の接地が促され、足への負担は太もも・膝からアキレス腱・足首の方へに移行すると言われています。
さらに、より前方で接地することで蹴り出し動作までの移行が早くなり、ケイデンスを上げやすくなります。
ゲルカヤノのような初心者向けシューズのドロップは小さくする必要性があまりないと思っていたので、8mmになったことは意外でした。
ドロップの減少は最近の傾向でもある気がしますが、技術の進歩でドロップを小さくしても体重移動をサポートできるようになったのかもしれません。
ちなみにアシックス公式ではドロップ自体の説明は特になく、前足部の厚みが増してクッションが増加したことが記載されています。
たった2mmの差なので気にならない方が多いと思いますが、ドロップに敏感な方はライド感の違いに違和感を覚える可能性があります。
実走レビュー
サイズ感・履き心地

サイズ感は普通、または少し大きいくらいです。スピードを出すシューズではないので普段のサイズにしました。
ゲルカヤノ31ではつま先が当たってマメができたことがありましたが、今作は高さが変わったのか当たることなく快適でした。

アッパーを拡大して観察してみると、外側の1層目は太めの糸でしっかりと編まれていて、ところどころに大きめの通気孔が空いているのが分かります。
見た目からも、サポート力と通気性の両立が意図されているように感じました。
その内側の2層目には細かい繊維が敷き詰められていますが、これにより足当たりが優しく、また光をしっかり通しており通気性を大きく阻害している様子は見られませんでした。
自然なサポートで快適

ゲルカヤノ32はプロネーション抑制のためにソール内側に広がりを持たせているようですが、実際に履いてみても内側の方が高く感じられました。
前作はフォームパーツの部分のみ高く感じましたが、今作は全体的になだらかに高くなっている感覚でした。
このサポートは決して強すぎることはなく、正しいフォームに合った形状なのか走行時は意識が向かないほどスムーズです。
そもそも幅が広いためそれだけで安定はしますが、かつ内側のガイドによって足がしっかり前方に向く設計になっていると感じました。
他社のスタビリティシューズは今でも硬い部材でサポートすることがありますが、ゲルカヤノ32のフォームパーツは柔らかいため違和感なく自然に走れることがメリットだと思いました。
クッション・反発力はどちらも中程度ですが、キロ5前後のペースで走るだけならむしろ最適で十分な性能です。
ゲルニンバスのようなふかふか感ではないものの地面の感覚はほとんどなく、ソールの中でしっかりと衝撃が減衰されているイメージでした。
8mmドロップの違和感は特になし

先ほど記載したようにドロップが8mmになり、前足部が2mm厚くなっていますが、さほど大きな変化は感じませんでした。
ドロップが2mm小さくなったことを意識すれば、確かにフラットな接地感になったような気がするくらいです。
仮にかかと部分から接地しようとしても、ソールの後端が反り上がっているため、ある意味後ろからロッカーのように体重移動がサポートされる感覚があります。
その後は内側のサポートで前方にガイドされるため、最後までブレずにスムーズに走ることができます。
重さは300gとそこそこありますが、それでも数年前の露出型ゲルを大量に使用していたモデルよりも厚く軽量にはなっています。
重量はゆっくり走る分には全く問題にならず、マラソン完走を目指すには頼もしく安心感のあるシューズになると思いました。
ゲルカヤノ31との違い
ゲルカヤノ32と31の違いを解説します。
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GEL-KAYANO 32 | GEL-KAYANO 31 | |
¥22,000 | 定価(税込) | ¥20,900 |
300g | 重量(27.0cm) | 305g |
40mm | 厚さ | 40mm |
8mm | ドロップ | 10mm |
FF Blast Plus + PureGEL + 4DGS | ミッドソール | FF Blast Plus Eco + PureGEL + 4DGS |
商品画像の引用元:asics.com
ここまで見てきたように、ドロップが8mmに変更されたこと以外は大きな違いはないといえます。
ややフラットな接地感になった気もしなくはないですが、しっかりガイドされるため大きな問題にはならないと考えます。
また、通常の(Ecoではない)FF Blast Plusになったことに関しても、そこまで変化は感じませんでした。

ドロップ以外で1つ挙げるなら、シュータンがノヴァブラスト5のような薄さになっています。
重量増加を抑える目的かと思いましたが、公式サイトではサポート力・フィット感の向上が目的とされています。
私はどちらでも良いですが、厚めのシュータンが快適に感じていたなら気になるポイントかもしれません。
どんなランナーにおすすめ?
ゲルカヤノ32は以下のようなランナーにおすすめできるシューズです。
- フルマラソン完走を目指している
- 怪我のリスクを減らしたい
- ゆっくりペースを気にせず走りたい
逆に、以下のようなランナーには合わない可能性があります。
- スピード練習でも使いたい
- 10mmドロップから変えたくない
- 薄いシュータンが苦手