【陸上】レース前のカフェインの効果について│摂取のタイミングは?
レース前にMonsterやRed Bullでカフェインを摂取している選手をよく見かけます。本記事ではレース前のカフェインの効果・摂取量・タイミングなどについて調べたことを紹介します。
カフェインの効果
ランナーにとってカフェインを摂取するメリットは以下の通りです。
- アドレナリンの分泌を促進する
- 中枢神経系を活発化させることにより、多くの筋肉を稼働させる
- β-エンドルフィンを放出し、疲労の自覚を遅れさせる(ランナーズハイ)
- 運動後の疲労の軽減
1つ目と2つ目の効果はほとんど一緒ですが、アドレナリンの分泌が中枢神経系の活性化につながっています。レース当日のアドレナリンの効果については、以下の記事でも触れています。
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カフェインの適切な摂取量
文献によって様々ですが、3~9mg/kgの摂取でパフォーマンスが高まるといわれています。
しかしながら、人によってカフェインから受ける影響の度合いは異なるので、少しずつ量を増やしながら自分に合った摂取量を探すと良いです(3mg/kg未満で効果が表れる人もいるみたいです)。
摂取しすぎても不眠や震えなどの副作用が発症する可能性がある上に、効果が増大する訳でもないので注意が必用です。とはいっても、9mg/kgを超える摂取をすることは基本的にないと思います。
例えば体重50kgの人の場合、効果がある上限(9mg/kg)は9×50=450mgとなりますが、これはMonster約3.2本分に相当します。
参考までに、カフェインが含まれる飲料と含有量を以下の表にまとめました。
飲料 | 容量 | カフェイン量 |
---|---|---|
Monster Energy | 355ml | 142mg |
Red Bull | 250ml | 80mg |
TULLY'S Black ボトル缶 | 390ml | 234mg |
伊右衛門 | 525ml | 53mg |
コカ・コーラ | 500ml | 50mg |
意外にもエナジードリンクよりもブラックコーヒーの方がカフェインの量が多いことが分かります。そのため、味を気にしないのであればブラックコーヒーを飲んだ方が効率的で良いと思います。
摂取するタイミング
カフェインは摂取後5~15分で血液中に現れ、40~80分でピークに達するといわれています[1]。そのため、レース1時間前くらいに摂取するのが適切だと思います。
しかしながらカフェインには利尿作用もあるため、フルマラソンなど競技時間が長い場合はレース前の摂取を避けたほうが良いです。その場合は、カフェインを含んだジェルなどをレース中盤以降に摂取すると良いです。
また、カフェインの効果は3~5時間持続するといわれているので、睡眠の質を下げてしまうのを避けるために就寝3~5時間前の摂取は避けたほうが無難です。
カフェインへの耐性
毎日カフェインを摂取することでカフェインへの耐性ができるという研究結果があります[2]。研究では、被験者が毎日3mg/kgのカフェインを摂取したところ、VO2Maxの増加は摂取初日がピークで、その後効果が徐々に減少したという結果が示されています。
効果が完全になくなるわけではなさそうですが、カフェインの恩恵を最大限に受けるために、レース1~2週間前からカフェインの摂取を控えることをおすすめします。
ドーピングにはならない?
2004年以降、世界アンチドーピング機構はカフェインを禁止物質から除外しているためドーピングにはならないようです。
ただし、栄養ドリンクの中には禁止物質が含まれている可能性もあるので、事前に確認するようにしましょう。
参考文献・参考記事
- Spriet LL. Exercise and sport performance with low doses of caffeine. Sports Med. (2014) Nov;44 Suppl 2(Suppl 2):S175-84. doi: 10.1007/s40279-014-0257-8. PMID: 25355191; PMCID: PMC4213371.
- Lara B, Ruiz-Moreno C, Salinero JJ, Del Coso J (2019) Time course of tolerance to the performance benefits of caffeine. PLoS ONE 14(1): e0210275. doi:10.1371/journal.pone.0210275
- The Performance-Enhancing Power of Caffeine, 2021/1/12閲覧