【ランナー必見】VDOTについて解説!VO2Maxとの違いは? – Unattached Runner
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【ランナー必見】VDOTについて解説!VO2Maxとの違いは?

★2023/3/26更新★

 ダニエルズのランニングフォーミュラという本を知っているでしょうか。ランナーには有名な本で、VDOTという指標を使って練習メニューの組み立て方や考え方が詳しく解説されています。

 本記事ではVDOTについて、VO2Maxとの違いと合わせて詳しく解説しようと思います。

VDOTとVO2Maxの違い

VO2maxとは

 まずはVO2Max(最大酸素摂取量)について知る必要があります。VO2Maxは1分間に1kgあたりに取り込める酸素の最大量(ml/kg/min)を表します。VO2Maxの平均は男性で40ml/kg/min、女性で35ml/kg/min程度だといわれています。

 VO2Maxの測定方法は、呼気採取用のマスクをつけながらトレッドミルを走る(またはバイクを漕ぐ)ことで算出してもらうことが一般的ですが、ガーミンなどVO2Max予測機能があるウォッチで簡易的に知ることもできます。

VO2Maxの予測

 しかしどちらの測定方法も精度は微妙で、仮にVO2Maxが同じ選手でも走力に差があることもあります。そのため、VO2Maxからレースのフィニッシュタイムを予測するのは難しいといえます。

VDOTとは

 VDOTは、VO2Maxにランニングエコノミーを考慮して作られ、VO2Maxよりも正確に走力を反映したパラメータといえます。

 VDOTは自分のレースタイムから算出されるため、VO2Maxよりも簡単に知ることができます。レースタイムの予測や適切な練習強度を知るのに役立ちます。

VDOTの活用方法

VDOTの算出

 VDOTはこちらのサイトから算出することができます。やり方は距離とタイムを入力し、calculateボタンを押すだけです(Paceは自動的に算出されます)。算出されたVDOTは右上に表示されます。

VDOT計算ツールの使い方

 ここで一つ注意点があって、フルマラソンのタイムからVDOTを算出することは避けたほうがいいです。VDOTはもともと呼吸系の指標であるVO2Maxを元にして作られたパラメータのため、エネルギー不足による失速はあまり考慮されていないと思われます。

 しかし、大半の方はフルマラソンで呼吸が苦しくなって失速するというより、エネルギー不足で失速していると思われるため、ここで誤差が生じてしまいます

 そのため、フルマラソンでVDOTを算出すると、本来のVDOTよりも低く出てしまうことが多いです。

レースタイム予測

 VDOTを用いることで1500m以上のレースのタイム予測を行うことができます。1500m以下の距離についてタイム予測をしたい場合は、以下の記事で換算表を作成したのでご参照ください。

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 ここでは私を例に3000mのタイムを予測してみます。まず、5000mのタイム(14'30"43)から計算してみたところ、VDOT = 72.3と算出されました。

 次にEquivalentタブを選択すると、算出されたVDOT(= 72.3)におけるタイムが一覧が確認できます。

VDOT=72.3のタイム一覧

 計算結果から、3Kの横に表示された8'20"が予測タイムとなります。普通ならこれで終わりでいいのですが、自分の感覚からもうちょっと速いタイムが出る気がします。そこでさらに精度良くレースタイムを予測していきます。

 1500mの予測タイムをみると3'54"となっていますが、私の実際の1500mのタイムは3'47"89のため、VDOT = 72.3では予測タイムが少し遅く、誤差が生じてしまっています

 これは私がスピード寄りのランナーで、短い距離ほどVDOTが高くなるからです。そのため、5000mよりも距離の短い3000mでは予測タイムが遅めに出てしまったのだと考えられます。逆にスタミナ型ランナーの場合は、長い距離ほどVDOTが高くなる傾向があります

 試しに1500mのタイムからVDOTを計算してみると、VDOT = 74.3と算出されました。これらの結果から3000mのタイムを予測したい場合、間をとってVDOT = 73.3くらいかなと考え、VDOT = 73.3となるタイムを(頑張って)探します。

VDOT(3000m)

 いろいろとタイムを打ち込んでみたところ、8'14"VDOT = 73.4となり、これが3000mの予測タイムとなります。かなりいい線いってると思います。

 このように、レースタイムを精度よく予測するためには、最低2種目以上の結果からVDOTを算出し、自分自身のVDOTの傾き(高く出る方向)を知っておく必要があります

トレーニングタイプ

Training-Pace

 Trainingタブを見ると、Easy, Marathon, Threshold, Intreval, Repetitionという5つの項目があり、それぞれにタイムが表示されています。

 これは、練習のタイプによって、それぞれペースをどれくらいにすればいいかを示したものです。

 表示されている5つの項目の他にも、実はFast Repetitionという項目もあります。ここからはFast Repetitionも含めた6つの項目について解説していきます。

Easy(Eペース)

 普段のジョギングのペースで、VDOTでは最大心拍数の65~79%と定義されています。ただし、79%付近はジョギングとしては速く感じる方が多いと思います。

 このため、私は最大心拍数の70%以下(ハーフのレースペース+1min/km前後)とすることを推奨します。

 (ただし個人差はあり、疲労が溜まらないのであれば最大心拍数の79%までペースを上げても良いと思います。)

 イージーランの目的は高強度トレーニングの土台を作ることです。怪我の防止にもつながるため、Easyトレーニングが走行距離の70~80%を占める必要があります。

 また、余力があればジョギングの後に流し(120mくらいの快調走)を入れると刺激が入り効果的です。

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Marathon(Mペース)

 5000m程度のロングインターバルや、10km ~ 20kmの距離走のペースに相当します。これもマラソンのレースペースより速いペースが出てくるので、スピード型ランナーにとっては厳しいペースです。

 目的はフルマラソンのレースペースに慣れることで、メンタルトレーニングにもなります。トラック競技の選手は、Marathonペースの練習は基本的に冬季練習のみで大丈夫です。

Threshold(Tペース)

 2000m前後のインターバル(クルーズインターバル)のペースに相当します。ランニングのペースを上げていくと、急激に心拍数が上がるペースがあり、その時のペースをThreshold(閾値)といいます。

 LT(Lactate threshold)ペースとも呼ばれることが多く、スタミナを鍛えるためのペースとして有名です。

 Thresholdペースの練習は中距離選手にとっても長距離選手にとっても重要で、普段の練習にバランスよく取り入れる必要があります。

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Interval(Iペース)

 1000mインターバルのペースです。VO2maxの95 ~ 100%のペースに相当し、VO2Maxの向上(分かりやすくいえばスピード持久力の向上)につながります。

 インターバルのリカバリーは400mjogをおすすめします。頑張って200mjogつなぎでインターバルをやっても、途中でペースが落ちてIntervalペースから外れてしまったら、VO2Maxの向上につながらないためです。

Repetition(Rペース)

 200m ~ 600mのショートインターバルのペース(レストは走行距離と同じ)に相当します。だいたい1500mのレースペースくらいです。

 目的はスピードの強化で、スピード型ランナーはRepetitionペースの練習を多めに設定する必要があります。

Fast Repetition(FRペース)

 Repetitonと同じで200m ~ 600mの練習で行いますが、強度が高いためレストは5分以上とることが多いです。だいたい800mのレースペースくらいです。

 練習の頻度は高くないですが、800mの選手にとってはレースペース、1500mの選手にとってはレースペースより速いペースを体に覚えさせるために行います。

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