【箱根駅伝】全区間の特徴、タイム分布・平均タイムを紹介！
箱根駅伝は各区間の距離が・高低差が異なり、タイムを聞いてもピンと来ない方は多いと思います。
そこで本記事では、箱根駅伝10区間のタイムを収集し、タイム分布(ヒストグラム)の作成と平均タイムの計算を行いました。
記録の条件を揃えるため、最後のコース変更があった2017年以降のデータから収集することにしました。
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1区/10区 (21.3km/23.0km)
1区/10区は大手町〜鶴見中継所を走ります。10区は20km過ぎ(日比谷あたり)で右折して東京駅の東側を回るので、1区よりも1.7km長くなります。
横浜市鶴見区(ほぼ川崎)に住んでいたことがあるため何度も走ったことがありますが、このあたりはフラットで走りやすいので、純粋な走力勝負になると思います。
タイム分布は以下の通りです。
1区は序盤の流れを決める重要な区間ですが、特にスローになった場合タイム差が付きづらく、グラフを見てもばらつきが小さいことが分かると思います(一番右の新井選手は転倒の影響がありました)。
そのため、強い選手を持ってきた場合にもったいない場合もあります。
とはいっても離されすぎると2区で競る相手がいなくなり、かつエース区間のため追いつくために相当な力を使うことになります。
1区は距離がハーフマラソン(よりちょっと長い)くらいなので、61分台が出ると相当速い感覚です。
10区は23.0kmと長いので純粋に走力が高い選手、また安定していて(失敗しづらく)スパートに強い選手が求められます。
順位によっては途中で集団になり、スパートに強い選手がラストに備えて温存する場面もみられます。
2区/9区 (23.1km)
2区/9区は鶴見中継所〜戸塚中継所まで走ります。距離は23.1kmで最長区間となります。
特に2区は最長区間かつ中盤の権太坂で50m近く上るため、5区の山登りと並んでタイム差がつけやすく、それゆえに各大学のエースが配置されます。
9区も単純に距離が長いことから、準エース級の選手が配置されることがあります。タイム分布・平均タイムは以下の通りです。
9区の方がやや下り基調でタイムが出やすいと思われますが、2区のタイムの方が平均2分半ほど速くなっています。
理由はエースが配置されることに加えて、1区ではタイム差が大きくつかないことが多いため、各大学が競りながら相乗効果で力を出し切れる要因もあると思われます。
2区は2025年は68分50秒で区間20位でしたが、決して遅いタイムではなく、9区なら区間3位相当の記録になります。
グラフの通り67分台でも有名な選手が多く、区間によっては区間上位・区間賞を狙える記録になり得ます。
66分00秒で走った場合、単純にハーフマラソンの距離に換算すれば60分16秒となり、距離と上り基調を考慮すれば65分台は異次元のような記録といえます。
このため、最長区間も理由ですがエースを配置せざるを得なくもなっていて、ここで単独走になると相当引き離される可能性がでてきます。
3区/8区 (21.4km)
3区/8区は戸塚中継所〜平塚中継所まで走ります。戸塚から5km地点に高低差約35mの遊行寺の坂があり、復路(8区)で上ることになります。
2区/9区と同様に往路(3区)により強い選手が配置される傾向があり、遊行寺の坂を下るメリットはあるものの3区の平均タイムの方が2分半ほど速いです。
2区は最長区間で実力差が表れやすいとはいっても、エースの実力が拮抗していると背中が見える位置で3区につながることが多いです。
このため、少しでも前の順位を維持して前半の良い流れを作るためにも、3区もエース/準エースレベルの選手が配置される傾向があります。
距離はハーフマラソンよりも少し長いので、下ってはいるものの59分台(ヴィンセント選手・太田選手)の記録はハーフの日本記録に近い価値があると思います。
ちょうど3分ペースで走ると1時間04分台前半の記録になるため、3区は3分かからないように、9区は3分ペースから離れないように走れれば良い記録が期待できます。
4区/7区 (20.9km/21.3km)
4区/7区は平塚中継所〜小田原中継所(かまぼこの里の前)まで走ります。4区は特殊区間(5区/6区)を除けば最も短いです。
平塚中継所近くの大磯駅付近で4区は海沿いを走りますが、7区は陸側に迂回するため0.4km長くなります。
タイム分布・平均タイムは以下の通りです。
細かなアップダウンが特徴的ですが、最終的には4区の方が上ることになります。
こちらも往路(4区)の方が強い選手が配置される傾向が強く、距離は短いとはいえエース級の選手が走っていることが分かります。
7区は1区と同じ21.3kmですが、スローにもなり得る1区よりも平均タイムは1分半ほど遅いです。
高低差だけでは説明できない差で、単独走になりやすいこと、つなぎの区間としての意味合いが強いことも影響していると思います。
このため、エース級の選手が7区を走った場合、2025年の佐藤圭汰選手のときのように特大区間新が生まれることもあります。
5区/6区 (20.8km)
5区/6区は小田原中継所〜芦ノ湖(海賊船の箱根町港)まで走ります。高低差は最大800m以上(傾斜は均しても5%前後)あり、5区が山上り、6区が山下りになります。
タイム分布・平均タイムは以下の通りです。
5区は走力に加えて山上りの適性も影響するためか、タイム分布が最もばらついていることが分かりました。
平均ペースは3分30秒/km前後、区間新でも3分20秒/km切るくらいで、最短区間ですが走行時間は最も長いです。
5区/6区は2017年のコース変更(小田原中継所の移動)により2.4km短くなりましたが、当時の5区の区間記録(神野大地選手)を今の距離に換算すると1時間08分21秒になります。
6区は朝の冷え込んだ路面を下りますが、場合によっては路面が凍結することがあります。名場面(?)の犬と並走もCM前に流れます。
山下りのため区間新ペースは2分45秒/kmを切っており、ハーフマラソンの日本記録よりも速くなります。
走行時間が短いためか、グラフの通りタイム差はほとんどつかないことが分かりました。
山下りのスペシャシストという言葉を聞きますが、トラックが主戦場の館澤選手が上位に入っていることから、高速ペースに適応している選手が合っているのかもしれません。