ランニングシューズのドロップとは?目安の大きさは何mm?
★2022/3/22更新:一部内容を更新しました。
ランニングシューズのドロップ(オフセット)について、適切な大きさや特徴を解説します。
目次
ドロップとは?
ランニングシューズのドロップとは、つま先部とかかと部の厚さの差のことをいいます。オフセットと呼ばれることもあります。
裸足であれば当然ドロップは0mmですが、基本的にシューズには傾斜がついているため前後で厚さの差が生まれます。
一般的に、ドロップが小さいほどストライドは大きくなり、ドロップが大きいほどストライドは小さくなります。
このため、自分に適していないドロップではランニングフォームが崩れ、怪我をするリスクが高まってしまいます。
ドロップの大きさの違いと特徴
ドロップ | 典型例 |
---|---|
~6mm | 薄底 |
6~10mm | 中〜上級者向け |
10mm~ | 初心者向け |
ドロップは6mm~10mmが標準で、6mm以下は比較的小さく、10mm以上は大きいです。
記事後半で解説しますが、10mm以上のドロップは初心者向けのシューズに多いです。また、6mm以下では薄底シューズ(レーシングフラット)に多いです。
ドロップが大きいシューズ
ドロップが大きい(10mm~)場合は、初心者向けのシューズが多いです。
例としては、アシックスのゲルカヤノ(メンズ10mm、レディース13mm)、ミズノのウエーブライダー(12mm)が挙げられます。
なぜ初心者向けなのかについて、以下の図を用いて解説します。
初心者はランニングのペースがゆっくりなため、蹴り出す力は比較的上向きになります。
このため、ドロップが小さいと上に跳ね上がってしまい、前に進みづらくなってしまいます。
ドロップが大きいと、自然と前への力が加わり体重移動が助けられるため、楽に走ることができます。
また、ドロップが大きいシューズはヒールストライク(かかと接地)を前提とした設計となっています。(初心者の大半がヒールストライクです。)
ドロップが大きいシューズはヒールカップ(かかと周りの補強)がしっかりしている場合が多く、かかと接地でもブレづらく安定感が保持されるメリットがあります。
ただし、ヒールストライクでは接地時間が長くなるため、スピードを出すことには不向きです。
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標準的なドロップのシューズ
標準的なドロップ(6mm~10mm)の場合は、中〜上級者向けのシューズが多いです。
例としては、ナイキのヴェイパーフライ(8mm)、アディダスのアディゼロジャパン6(8mm)が挙げられます。
中〜上級者はランニングのペースが速いため、蹴り出す力が強く、力の向きは初心者よりも前方向を向きます。
図のようにドロップが大きすぎると前に進みすぎてしまい、着地までの時間が短くなってしまいます。(ピッチ走法のランナーにとってはメリットになる場合もあります。)
このため、スピードを出したいときはドロップがある程度小さな(傾斜が緩い)シューズを選ぶ必要があります。
ドロップが小さいシューズ
ドロップが小さい(~6mm)場合は、薄底シューズ(レーシングフラット)が多いです。
例としては、ニューバランスのハンゾーW(6mm)、ミズノのウエーブクルーズ(6mm)が挙げられます。
薄底シューズは、クッション性が低く高速レースが想定されていることが多く、スピードの出しやすさが重要です。
そのため、ヒールストライクになりやすい高ドロップのシューズは薄底と相性が悪いといえます。
また、薄底はそもそもかかと部の厚さが薄いので、ドロップを大きくするとつま先部の厚さがほとんどなくなってしまいます。
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その他ドロップに影響する要素
ここまで各ドロップの特徴を解説しましたが、ドロップの大きさは他にも様々な要素が絡んで決定されます。
前足部の柔らかさ
ナイキ最速のマラソンシューズであるヴェイパーフライのドロップは8mmですが、アルファフライは4mmです。
詳しいことはナイキに聞かないと分かりませんが、この違いは前足部がの柔らかさによるものだと思います。
地面を蹴る瞬間(つま先に力が加わるとき)に、前足部が柔らかいと沈み込みが大きくなります。
アルファフライは前足部にエアポッドが内蔵されているため、蹴り出し時の前足部の沈み込みが大きく、その分ドロップを小さくする必要があると思われます。
カーボンプレート
カーボンプレートが内蔵されているシューズは、ドロップが比較的大きくなる傾向があります。
例としては、ナイキのズームフライ(11mm)、ニューバランスのFuelCell TC(10mm)が挙げられます。
これらのシューズは初心者向きではないのにも関わらず、ドロップが10mm以上となっています。
ドロップを大きくしている理由は、カーボンプレートがあることで上に跳ね上がりやすくなるためだと思います。
このため、ドロップをある程度大きくして、跳ね上がりを抑制する(前への力に変換する)必要があります。
ロッカー形状
ロッカー形状とは、つま先が反り上がっている、またはゆりかごのような形状になったシューズを指します。メーカーによって言い方は異なり、例えばアシックスはガイドソールと呼んでいます。
ロッカー形状には体重移動を助ける効果があり、転がるように自然と前に進むような感覚が得られます。
ロッカー形状を採用しているシューズは、ドロップが比較的小さくなる傾向があります。
例としては、アシックスのグライドライド(5mm)、ホカオネオネのクリフトン(5mm)、アディダスのアディスター(6mm)が挙げられます。
ドロップを小さくしている理由は、通常のシューズよりも蹴り出し時に前傾するためだと思います。
そのため、ドロップが大きいと前傾しすぎてしまい、走行効率性が落ちてしまいます。
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まとめ
ランニングのドロップについてまとめると、以下のようになります。
- ドロップが大きい場合(10mm~)は初心者向けシューズが多い
- 標準的なドロップ(6mm~10mm)は中〜上級者向けに多い
- ドロップが小さい場合(~6mm)は薄底シューズが多い
- 前足部の柔らかさ、カーボンプレート、ロッカー形状にも影響される