【Mizuno】ウエーブリベリオンプロ2 レビュー│かかとを削ったメリットは?
ウエーブリベリオンプロ2はミズノ最速の厚底カーボンシューズで、スムーススピードアシストという独自技術を採用しています。
スムーススピードアシストは後足部が大きくカットされたソール形状が特徴的であるため、ライド感・安定性に関して気になっている方は多いと思います。
そこで本記事では、スムーススピードアシストについて解説するとともに、実際の使用感についてレビューします。
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目次
ウエーブリベリオンプロ2の基本情報
はじめに、ウエーブリベリオンプロ2のスペック、メリット・デメリットを紹介します。
- 発売日:2023/12/22
- 定価(税込):¥25,300
- 重量:215g(27.0cm)
- 厚さ:38mm
- ドロップ:1.5mm
- ミッドソール:Mizuno Energy Lite Plus + Mizuno Energy Lite + Carbon-Reinforced Nylon Plate
- カテゴリー:レーシング
- 主な用途:レース(〜サブ3)、インターバル、テンポ走、ロング走
- ユニークなライド感
- 最速モデルとしては低価格
- 高いクッション性
- 不安定(前作よりは改善)
- 反発力は中程度
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スムーススピードアシスト(SSA)とは?
画像の引用元:特許第7428691号 図5
まずはウエーブリベリオンプロ2の一番の特徴である、スムーススピードアシスト(SSA)の特徴・メリットを解説します。
SSAはフォアフット走法をサポートし、ランニングエコノミーを高めるための独自のソール構造のことを指します。
SSAに関する特許(第7428691号)では、簡単に書き直すと以下のようなソールを請求の範囲として定めています(少し表現を変えています)。
- ソール後端から45%の位置(厳密には点C)を接地位置とする
- 接地姿勢において、前足部・後足部が地面から離れている
- 接地姿勢において、ソール後端から15%、68%の位置を結んだ直線が地面となす角度が5度以上に設定されている
後足部をカットすることで接地位置を前〜中足部に限定し、さらに接地時のソールの角度を5度以上とすることでフォアフット走法をサポートしています。
フォアフットで走ることで接地時間が短くなり、脚への負担が軽減されるとともにランニングエコノミーの向上も期待されます。
ミズノ公式では時速16~20kmの範囲で脚への負担が軽減されるとの記載があり、これは1kmあたりのペースにすると3'00"/km〜3'45"/kmになります。
また、SSAを採用することで後足部の落ち込みが低減されるため、ランナーのレベルによらずにフォアフットで走れることがメリットとなります。
ただし、独特なソール形状なためライド感に慣れるのに時間がかかり、好みは大きく分かれると思います。
ウエーブリベリオンプロ2の特徴
ここからはウエーブリベリオンプロ2のSSA以外の特徴を見ていきます。
中足部の厚みは66.5mm
世界陸連の規定では、厚さの測定位置はシューズ後端から12%の位置と定められています。
ウエーブリベリオンプロ2では性能を追求した結果(規定を逆手に取り)、後足部(測定位置)をカットすることで40mm以下を達成しています。
このためソールがカットされていない中足部が最も厚く、その厚みは40mmを大幅に超過する66.5mmです(ルール上問題ありません)。
プライムX(Adidas)のようにシューズの性能を追求すると厚さは増していく傾向にありますが、SSAは規定の範囲内で限りなく厚底にできることがメリットです。
ただし、厚くすると安定性が低下するデメリットがあります。実際にウエーブリベリオンプロ2は安定性が低く、初心者は扱いづらいと感じる方が多いと思います。
2種類のフォーム材を使用
ウエーブリベリオンプロ2のミッドソールは、上層が「ミズノエナジーライトプラス」、下層が「ミズノエナジーライト」の2層構造です。
最速モデルで2種類のフォーム材を使うことは珍しく、性能重視のためPEBAベースのフォーム材のみを使用することが大半です。
ウエーブリベリオンプロ2は上層のみがPEBAベースで、下層は上層よりは少し硬めで反発力は控えめです。
非PEBAの下層を配置した理由は安定性を高めるためだと思いますが、最速モデルに採用されることは珍しいです。
また、2層のフォーム材の間にはカーボン強化ナイロンプレートが内蔵されています。
純粋なカーボン素材ではないものの曲げ剛性はそこそこ高く、前足部を踏み込むことでプレートの後ろ側が支え台のように機能します。
最速モデルとしては安く手に入る
ウエーブリベリオンプロ2の定価(税込)は25,300円です。
以下の記事で各社最速の厚底シューズをまとめていますが、この中で最も安いです。
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ミズノは厚底カーボンシューズの発売が他社よりも遅く、シェアが高くないことから安くせざるを得ないのが実情だと思います。
ウエーブリベリオンプロ2の実売価格(2024/6/5確認)
さらに、定価が安いだけでなくセール価格(またはポイントアップ)になりやすく、安く手に入れたい方にとっては狙い目です。
記事執筆時(2024/6/5)に楽天市場で探してみたところ、ステップスポーツでは実質2万円以下で入手可能でした。
特に楽天市場はキャンペーンが開催されることが多いので、定期的にチェックしてみても良いと思います。
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実走レビュー
ウエーブリベリオンプロ2を履いて走ってみた使用感をレビューします。
サイズ感・履き心地
サイズ感は私は普段のサイズで問題ありませんでしたが、やや小さかったというレビューも散見されます。
フィット感は前足部はやや広く、かかとの固定は強くはないので、中足部で固定されているようなイメージです。
立ってみると、66.5mmの中足部の厚みを強く感じます。
立っていられないほどではないですが、後ろに体重をかけるとソールが転がってしまいます。
厚底感は他社のシューズを含めても最も強く感じられ、歩いているだけで新鮮で楽しいです。
SSAの効果で脚が回しやすい
1km3分を切るくらいのペースで使用してみました。
このペースでは独特なライド感はやや薄れ、普通の厚底シューズのような感覚に近づきます。
SSAの特殊なソール構造のおかげで接地時に前傾姿勢となるため、スピードに乗っている間は脚が回りやすく快適に走れました。
重量(27.0cm)は215gと厚底レーシングシューズとしては平均的な軽さで、アウトソールのG3ソールはグリップがしっかりと感じられ、これらも脚の回しやすさに寄与しているように感じました。
クッションは高いが反発力はそこそこ
下層(ミズノエナジーライト)の使用量が意外と多い
中足部がかなり厚いうえに、ソール中央部に大きな空洞が設けられているため、圧縮量が大きくクッションは強く感じられました。
ただし、この大きな圧縮力から期待されるほど、反発力は高くはないように思います。
誤解のないように補足しておくと、反発力は決して低くはなく、無理なくキロ3ペースで走れる推進力は感じます。
ただし、66.5mmの厚さを活かせているかと言われると、やや物足りないくらいの印象です。
突出して反発力が高くはない理由は、下層に非PEBAのフォーム材(ミズノエナジーライト)を配置しているためだと考えられます。
安定感を高めるために2層目が必要不可欠なのかもしれませんが、全域をミズノエナジーライトプラスにすれば反発力は一段と強くなると思います。
遅めのペースではグラつきが不安
ウォームアップの地点から履いていましたが、おおよそキロ5よりも遅いペースでは安定性が気になり始めました。
全く走れないという訳ではないですが、中足部の厚みによりグラつきを感じてしまいます。
SSAはランナーのレベルによらずフォアフットで走れることがメリットとされてはいるものの、正直かかとから接地しようとしたら走りづらいです。
私がウエーブリベリオンプロをフルマラソンで使うかと聞かれたら、使いこなせる自信がないため「使わない」と答えます。
10kmくらいであれば全然ありですが、フルマラソンでは失速時にグラついてしまい、それだけで脚を使ってしまいそうで不安です。
決して性能が低いシューズではないですが、不安要素がある以上フルマラソンで積極的に選ぶ理由にはならないかなと思います。
ちなみにミズノ公式ページでは、全6レビューのうち星5×4件、星1×2件となっており、好みが大きく別れています。
使いこなせるか心配な方は、サブ3〜サブ4向けのウエーブリベリオンフラッシュ2を検討してみても良いと思います。
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ウエーブリベリオンプロ(初代)との違い
Wave Rebellion Pro 2 | Wave Rebellion Pro | |
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¥25,300 | 定価(税込) | ¥25,300 |
215g | 重量(27.0cm) | 215g |
38mm | 厚さ | 39mm |
1.5mm | ドロップ | 4.5mm |
ME Lite Plus + ME Lite + Carbon-Reinforced Nylon Plate | ミッドソール | ME Lite Plus + ME Lite + Carbon-Reinforced Nylon Plate |
一体 | ソール形状 | セパレート |
※ME:Mizuno Energy
ミッドソールの構成は変わっていませんが、ミズノエナジーライトプラスが増量され、プレート形状を改良したことで反発力が向上しています。
さらに、前作よりも速いペースでSSAが効率的になるようにプレート角度が調整され、より上級者向けのシューズとなりました。
また、ソール内側を前後に分離していた溝は結合され、一体形状となることで安定性は少しだけ改善されました。
ただし遅めのペースでは不安定であることに変わりなく、ジョギングなどの用途には適していません。
どんなランナーにおすすめ?
ウエーブリベリオンプロ2は以下のようなランナーにおすすめできます。
- 厚底レーシングシューズを安く入手したい
- 10km以下のレースや、スピード練習で使いたい
- フォアフット走法に慣れたい
- 独特なライド感を楽しみたい
逆に、以下のようなランナーには合わない可能性があります。
- サブ4〜完走レベルのマラソンシューズを探している
- キロ5より遅いペースで使いたい
- 足首をひねりやすい
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