【NB】SuperComp Elite v6 レビュー│ようやく他社製品に追いついた
SuperComp Elite v6(スーパーコンプエリートv6、以下SCエリートv6)は、ニューバランス最速のレーシングモデルです。
モデル名からFuelCellの文字が外れた通り、ミッドソールが変更され新素材のInfinionフォームが搭載されています。
本記事ではSCエリートv6の特徴・使用感について、前作(SCエリートv5)や競合製品と比較しながらレビューしていきます。
このシューズが載っているまとめ
目次
SuperComp Elite v6 基本情報
基本情報・実測値
- 発売日
- 2026/8/6
- 定価
- ¥31,900 税込
- 重量
- 190g 27.0cm代表値 / 173g 25.5cm実測値
- 厚さ
- 40.0mm 代表値 / 37.7mm 実測値
- ドロップ
- 8mm
- ミッドソール
- Infinion + Carbon Plate
- カテゴリー
- レーシング
- 主な用途
- 反発力が高いInfinionを採用
- アグレッシブなロッカー形状
- 約15gの軽量化
- 厚底カーボンならではの王道のライド感
- かかと接地では傾きやすい
- 前足部はそこまで厚くない
- 2,200円値上げ
SuperComp Elite v6の特徴・スペック
ソール構成・クッション
SCエリートv6はニューバランスの最速モデルで、今作よりモデル名からFuelCellが外れ、新素材のInfinion(インフィニオン)フォームを搭載しています。
Infinionは2026年1月に発売されたクッションモデルの1080v15で初めて採用されましたが、レーシングモデルに採用されたのは本作が最初です。
ただし同じInfinionでも中身は別物で、1080v15はEVAをブレンドした柔らかい仕様、SCエリートv6は超臨界発泡させたTPEE系のスーパーフォームです(非公式情報)。
もう一つの特徴がエナジーアークで、これはミッドソールに大きな空洞を設け、そこにアーク形状のカーボンプレートを内蔵したソール構造を指しています。
Infinionフォームの硬度(5回平均値)は35.1HA(常温環境)、35.8HA(低温環境)でした。
厚底レーシングモデルとしては平均~やや硬めの部類で、TPEEベースであるためかコシ(押し戻し)を感じます。
ただしミッドソールの大きな空洞や、アウトソールが極薄で柔らかい(46.4HA)ため、クッションは数値以上に感じられました。
ソールの厚さは公表値が40mmで、実測値は37.7mmでした。
測定値では規定の40mmからは少し余裕を持たせていましたが、この規模のズレは他のモデルでも珍しくありません。
ただし、前足部はロッカーの影響で大きく反り上がっているため厚みが削られており、アッパー上から測っても実測27.8mmしかありませんでした。
【参考値】反発力・曲げ剛性
反発力の簡易的な指標として鉄球を1mの高さから自由落下させ、反発時の高さを測定しました。
※落下地点の表面性に大きく左右されるため、実際に感じられる反発力とは必ずしも一致しません。
結果はインソール接着状態で50cmで、平均値をしっかり超えてきました。
トップレベルに高い値ではありませんが、後足部はプレートが上部を通っているため、鉄球がフォームの反発力を拾い切れていないだけだと思われます。
次に曲げ剛性の簡易的な試験として、前足部を固定した状態から15度曲げるために必要なモーメントを測定しました。
結果は4.28Nmで、カーボンプレート内蔵のレーシングモデルはサンプル数が少ないものの、計測したシューズの中で最も硬い値でした。
ミッドソールの空洞から露出しているカーボンプレートも見るからに厚く、数値通りの硬さに感じられました。
重量
重量は代表サイズが190g(27.0cm)で、実測値(左右平均)は173g(25.5cm)でした。
今の基準では最軽量とは言えませんが、レーシングモデルの最低ラインといえる200g(27.0cm)をようやく下回ってくれました。
ただし、メタスピードエッジ/スカイTokyo(Asics)・Fast-R 3(Puma)などは公表170g(27.0cm)なので、最軽量のラインには20g届いていません。
サイズ感(内寸・外寸)
25.5cmサイズにおける内寸(全長・前足部高さ・前足部幅・後足部幅)の測定結果は以下のようになりました。
サイズ感はややタイトでしたが、レーシングモデルとして考えれば普段のサイズで問題ありませんでした。
前足部幅は87.5mmで計測したシューズの中では最も狭い値でしたが、グラフにはないもののヴェイパーフライNext%(Nike)は85mm前後だったので極端に狭い訳ではありません。
外寸(アウトソールの幅)の測定結果は以下のようになりました。
結果は前足部が106.8mm、後足部が71.7mmでした。
後足部はかなり狭い部類なので、フォームの硬度自体はそこまで低くないものの、後ろに体重をかけると硬いプレートごと簡単に傾きます。
一方で前足部は平均値に迫るくらいで前後の差は35.1mmと計測した中で最も大きく、スピードに乗れている間は安定して効率的に走れる感覚でした。
実走・性能レビュー
王道の厚底カーボンシューズ
(手前)SCエリートv6 (奥)ヴェイパーフライNext%
走った感覚はヴェイパーフライNext%1・2(Nike)に近く、フォームの反発力とスプーン形状のカーボンプレートで積極的に前に押し出されます。
おそらく最も多くのランナーが履いたであろうあの感覚に近く、王道のライド感のため初めて履いてもすぐ馴染めると思います。
ヴェイパーフライと比べるとSCエリートv6のほうがやや柔らかく、ロッカーはさらにアグレッシブです。
接地したポイントで既にロッカーが始まっていて、硬いプレートを支え台のように使いながらどんどん転がって進みます。
走行時のスロー映像
接地後は動画のようにミッドソールの空洞がはっきり圧縮されますが、初めてエナジーアークが意識できるレベルで機能していると感じられました。
一方で、ロッカーが強力なため前足部の厚みはそこまで残っておらず、高速域では反発力を感じづらいのはデメリットです。
最も反発を感じられるのは中足部なので、このあたりで反発力をもらいつつ、ロッカーで転がり接地面が広い前足部で蹴り出す、みたいな走り方が合っていると思います。
私の走り方ではハーフ〜フルマラソンが使いやすく、3分ペース(/km)を切ってくると前足部の薄さやエナジーアークの圧縮(接地時間)が気になり始めました。
ようやく他社製品に追いついた
ニューバランスのエリートモデルは、前作の5代目までミッドソールの反発力が強力とは言えず、他社から一歩遅れている感が否めませんでした。
特に4代目まではレーシングモデルとしては相当優しいライド感で、安定感・履き心地・耐久性にもある程度配慮したような設計でした。
それが前作で形状が攻めたものになり、本作ではInfinionフォームで反発力も強化されたことで、しっかり弾んで推進力が得られるようになりました。
Fast-R 3(Puma)、メタスピードスカイTOKYO(Asics)のような強烈な反発力という程ではありませんが、これらと比べれば安定感があり、丁度良い具合に攻めている立ち位置です。
今作で他社製品に追いついたと言っても良く、全体的なバランスではSCエリートv6が一番走りやすい・合っていると感じる方も多いと思います。
どんなランナーにおすすめ?
SuperComp Elite v6は以下のようなランナーにおすすめできるシューズです。
- プレートで前に押し出されるライド感が好み
- 反発力もロッカーのサポートも欲しい
- 前作までの反発力を物足りなく感じていた
- 柔らかくもある程度コシがあるフォームが良い
逆に、以下のようなランナーには合わない可能性があります。
- とにかく反発力・推進力を追求したい
- 前〜中足部接地で走りきれるか不安
