【初心者向け】フルマラソン完走の難易度・練習方法を解説!
フルマラソン完走を目指す場合、特にランニング・陸上経験がないと何から始めれば良いか分からないと思います。
ランニング経験者にとっては当然のことであっても、未経験者にとっては新しい知識であることは多くあります。
そこで本記事では、主にランニング初心者・未経験者を対象に、フルマラソン完走の難易度と練習方法について基礎的なところから解説します。
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目次
フルマラソン完走の難易度
フルマラソンの完走難易度について、制限時間・ペースの観点から解説します。
制限時間に大きく左右される
フルマラソンの完走難易度は、当然ではあるものの制限時間に大きく左右されます。
完走できない理由は、頑張って走ったのに間に合わなかったのではなくて、多くは歩いた(または止まった)時間が長すぎたためです。
脚を痛めたり休憩するために歩くことがありますが、制限時間が短いほど許容される時間が短くなります。
また、制限時間ほどではないですが、気温・天候、コース(高低差)も完走難易度に少なからず影響します。
このため、フルマラソン完走をできるだけ簡単に達成するなら、制限時間が長く、気温が低い時期の大会を探すことをおすすめします。
フルマラソンの制限時間は、多くは6時間~7時間に設定されています。これより短い大会は、初めは避けたほうが良いかもしれません。
制限時間7時間のイメージ
制限時間が7時間の東京マラソン(2024)の完走率は、男子が96.8%、女子が96.1%でした。
多くの方が完走できており、完走難易度は高くないといえます。この理由を、完走に必要なペースから解説します。
フルマラソンを7時間で走るためのペースは「1kmあたり9分57秒」です。速度に直すと「6.0km/h」です。
ランニングのペースは時速ではなく、1kmあたりのペースで表す事が多いです。
1kmあたり6分のペースであれば「キロ6」と表現されます。
このペースを、イメージしやすい50m走に換算すると29秒8になります。早歩きのペースとほぼ同じです。
早歩きペースでも完走できるということは、有酸素能力が足りずに(息が上がって)失速することはほとんとありません。
先ほども書いたように、完走できない理由の多くは、途中で足をつったり痛めたりすることで、止まったり(のんびり)歩いたりしてしまうことです。
このようなトラブルを可能な限り起こさないために、しっかりとトレーニングを積んで、42.195km走りきれる脚作りを行う必要があります。
逆に考えれば、しっかりと脚作りができており、ゆっくりでも良いので最後まで走り続けることができれば、時間に余裕を持って完走できます。
このように考えると、フルマラソンを7時間以内に完走することは比較的容易に感じると思います。
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押さえておくべきポイント3点
ここでは、トレーニングを行う前に知っておくと役立つ知識を3点紹介します。
走行距離が最重要
私が大学時代に所属していた陸上サークルでは、年に1回フルマラソンに出場していました。
100m10秒台のスピードを持つ短距離選手も出場していましたが、ほぼ全員が完走ギリギリで、5時間以上かかっていました。
一方で大学からランニングを始め、週2〜3回の活動で緩く走っていた方(女性含む)は完走はもちろんのこと、多くが5時間以内にゴールしていました。
この例からも分かるように、フルマラソン完走が目標であればスピードよりも走行距離(トレーニング量)が重要です。
フルマラソン完走のペースは早歩きと変わらないため、スピードがほとんど不要であることは直感的にも分ると思います。
走行距離と長距離のパフォーマンスに強い相関があることは、科学的・統計的にも示されています。
ランニング経験がない方はイメージできないと思いますが、ペースはゆっくりでも良いので走行距離を増やすことで、走力は劇的に向上します。
サブ5(5時間切り)くらいまでであればジョギングのみで十分で、怪我のリスクも低いため完走への一番の近道だと思います。
急激にトレーニング量を増やさない
先ほどの内容の注意点にもなりますが、急激にトレーニング量を増やすと、怪我のリスクが大きく高まります。
例えば月間走行距離が50kmのランナーが翌月に300km走ったとしたら、経験からも高確率で怪我をすると思います。
有名なトレーニング本であるダニエルズのランニングフォーミュラでは、走行距離を伸ばすスピードは、1週間あたり10%を上限にすることが推奨されています。
現実的には1週間の走行距離の上限をを忠実に守るのではなく、週平均増加率で考えるのが良いと思います。
例えば、4週間で走行距離が1.5倍になったとき、週平均増加率は以下のように求めることができます。
1.5^(1/4) = 1.107
この場合、平均10.7%ずつ週間走行距離が伸びているので、ややトレーニング量を抑えたほうが良いことになります。
始めは簡単に怪我をしてしまうので、走行距離を一気に伸ばさないことはもちろんのこと、スピード練習のような高強度トレーニングも避けたほうが良いです。
ガーミンのトレーニング負荷機能(専用アプリより)
また、客観的にトレーニング量を管理する手段として、GPSウォッチに搭載されているトレーニング機能を使うことも有効です。
例えばガーミンのウォッチには、走行距離や運動強度から算出される「トレーニング負荷」があります。
トレーニング負荷により自身のコンディションを把握したり、短期的な負荷の大小を確認することができます。
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最初の成長スピードは凄まじい
ランニングを始めると気づきますが、最初の成長スピードはかなり速いです。
私は高校から陸上を始めましたが、入部からたった1週間ほどで、それもジョギングしかしていないのに明らかに走れるようになったことを今でも覚えています。
フルマラソンではないですが、1500mのタイムが4月地点では5分台だったのが、3ヶ月後の7月には4分29秒で走れるようになりました。
ランニングを始めた頃は周りのランナーが速く感じるかもしれませんが、割とすぐに追いつきます。
まずは周りのペースは気にせずに、自身の走力の向上を楽しみながら走ることをおすすめします。
トレーニング方法
ここからはフルマラソン当日までに向けたトレーニングの方法・練習メニューを、4段階に分けて解説します。
①走行距離を伸ばしていく
まずはランニング自体に慣れるために、ペースは気にせずに走行距離を伸ばしていくことから始めるのが良いと思います。
先ほども書いたように怪我には気を付け、ウォーキングを組み合わせても、週1からでも良いので、無理のない範囲で継続します。
トレーニングで一番の壁となるのはこの段階で、ランニングを習慣づけることができる方は多くありません。
成長速度に個人差はあるものの、1ヶ月も経てば最初に比べて走れるようになったことが実感でき、徐々に楽しく感じられるようになると思います。
- ランニングを習慣づける
- 無理なく月間走行距離50kmを達成
- 期間:1ヶ月〜2ヶ月
②ペース感覚を身につける
フルマラソンを完走するためのペースは以下の通りです。
制限時間 | ペース | 速度 |
---|---|---|
7時間00分 | 9'57"/km | 6.0km/h |
6時間30分 | 9'14"/km | 6.5km/h |
6時間00分 | 8'31"/km | 7.0km/h |
上に示したペースは早歩きとほとんど変わりません。このため、これらのペースで走り続ける(早歩き続ける)ことはほとんどありません。
このためマラソン(ギリギリ)完走はやや特殊で、途中で歩くことが前提となり、レースペースは上に示したペースよりももう少し速くなります。
このため、キロ7(7'00"/km)〜キロ7分半(7'30"/km)前後のペースに慣れることを目標にするのが良いと思います。
(元々運動が得意な方であれば、いきなりサブ5を目標にキロ6〜キロ6分半ペースをターゲットにしても良いと思います。)
走力が上がるにつれて速いペース(高い心拍数)を維持できるようになるため、通常は普段のジョギングペースよりもマラソンペースの方が速くなります。
キロ7で走り続ければ4時間55分、キロ7分半で走り続ければ5時間16分でゴールできます。
レースペースをキロ7に設定した場合、10km程度までであれば歩いてしまっても7時間以内にはゴールできます。
ペースの把握には、予算が許すならGPSウォッチの使用をおすすめします。相場は、安いモデルで3万円前後です。
安くても大抵は最低限のトレーニング機能・ヘルスケア機能は搭載されており、スマートウォッチのような使い方もできます。
メーカーはガーミンが圧倒的なシェアですが、最近はCOROS(カロス)のウォッチを使っている方が増えてきている印象です。
- キロ7〜キロ7分半ペース(目標のペース)に慣れる
- 月間走行距離50km〜100km
- 期間:1ヶ月〜3ヶ月
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③月間走行距離100kmを達成
キロ7ペースに慣れて数ヶ月間トレーニングを継続できた地点で、既にフルマラソンを完走できる可能性はあります。
ここから完走の確実性をさらに高めるために、次は月間走行距離100kmの達成を目標にすると良いと思います。
走る頻度が低いと100km達成のために一度に走る距離が長くなるため、週3以上は走って負荷を分散させることをおすすめします。
例えば平日2回と土日、週4で走ることを想定した場合、火・木・土は5km、日曜日はロング走として10km走れば、週間25kmとなり月間走行距離100kmが達成できます。
ロング走と聞くと30km走をを思い浮かべるかもしれませんが、完走が目標であれば30km走無理して行わなくて良いと考えます。
30km走で仮に怪我をしなかったとしても、疲労が残ってしまい思い通りにトレーニングが継続できなくなることもあります。
そうなるならフルマラソンで力を使い果たし、レース後にしっかりと回復期間を取った方が良い、という考え方もあります。
距離を伸ばすにしても10km・15kmと徐々に伸ばしていくのが良く、長くても20km走れれば十分だとは思います。
- 月間走行距離100km〜
- 週3以上走る
- 期間:レース1週間前まで
④レースに向けて量を落とす(調整)
フルマラソンに限らず、一般的にレース1週間〜2週間前からトレーニング量を落とし、疲労を抜くことでコンディションを調整します。
完走に向けたトレーニングは基本ジョギングのみなので調整の重要性はそこまで高くはないですが、それでもレース1週間前からは走行距離を抑えたほうが良いです。
ここまでトレーニングが積めていれば、調整期間は5km前後のジョギングで十分です。前日は走らなくても良いくらいです。
トレーニング量を落とすことに不安を感じるかもしれませんが、十分に回復することで本番は脚が軽くなり、しっかりとパフォーマンスが発揮できることができます。
- 疲労回復を意識する
- 期間:1週間程度
まとめ
フルマラソン完走のペースは速くないため、ゆっくりでも良いので走り続けていれば制限時間内に完走できます。
このため、トレーニングで42.195km走りきれる脚を作り、途中で歩いたり止まったりする時間を可能な限り減らすことが重要です。
本記事ではトレーニングに関する内容に絞って解説しましたが、以下の記事ではおすすめのシューズ・ウォッチ・ギアを紹介しているので、こちらも合わせて参考にしてみてください。
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